白黒の本
「い、壱!?」
「大丈夫です。彼が黒の本に触れたのなら、今度は僕達の番です。黒の本が何も書かれていないのだから、謎解きに使う物かと。だったら、白の本も問題ないはずです」
現にカイトが白の本に触れた時点では何も起きていない。
白の本にも題名は書かれていない。一冊だけでなく、全ての本に名前は一切なし。
本の中身も確認。いくら捲っても白紙が続いていく。
メアリも中身が白紙であると察し、残っている白の本に手を出す。
七に関しては残っている黒の本を調べるのを続けており、キスも確認し終えた黒の本を手に取り、試しに本棚へ出し入れしているようだ。
「数字に関する事だけでなく、一切何も書かれてませんね」
「黒の本の全てがそのようです」
「この本自体魔力はなくても、組み合わせる事で効果を発揮するのかもしれませんね」
白黒の本に神と悪魔の数字に関するヒントはなかったようだ。
「白と黒……色と数字が関係しているのなら、従者の部屋の数字をこの部屋でも使うのでしょうか?」
従者の部屋のベッドには様々な色と数字が描かれていた。その中で白=十であり、黒=一を示している。
「衣装室の謎解きは衣装の組み合わせでによって、ある数字を足したり、引いたりして、当て嵌める事でした。その時に使用したのが、従者の部屋にあるベッドの色と数字です」
メアリはキスに分かりやすいに説明する。
「なるほどね。七は色の種類と数字は覚えているわけ?」
「勿論です。今から言えばいいでしょうか」
「覚えてるなら問題ないわよ。多分だけど、関係ないと思うから」
キスはメアリの考えを即座に否定した。
「まずはこの空の本棚なんだけど、上中下で五冊は入るわね。合わせて十五冊。白と黒を合わせても十二冊なんだから、全部を埋めないと駄目だとすれば、他の本を使わないといけないわ」
キスが黒の本を空の本棚に出し入れしていたのは、どれだけ入るのを確認するためだったようだ。
カイトも白の本を使って、神の数字の本棚に抜き差ししてみる。
この本と本棚の上中下の間隔は同じようだ。別の本棚にも試してみると、全てが均一になっている。
神学、悪魔学、魔法学の本を別の本棚に移動させる事も問題はなさそうではある。
勿論、触れる時に何も起きなければの話になるが。
「そのようですね。本の高さが均一だとすれば、その可能性が高いと思います。他の部屋に本が置いてあった記憶はないですし」
「別の部屋に隠されていたとして、白と黒の本ばかりだったら、数字に当て嵌める意味はないでしょ。その場所を探すだけで謎解きになりそうだし」
本棚に必要な数を考えれば、別の場所に隠されている可能性は低い。それに悪魔が黒、神が白一色の本で一杯にしても、数字は意味を為さない事になる。
この白黒の本は一つのピースとして扱うべきなのだろうが。




