神と悪魔
「メアリ様。謎解きはこれではないでしょうか? それに……」
キスとメアリが魔法学、悪魔学の本を見回してる中、カイトと七も部屋の探索を行う。
勿論、主の許可なく、物に触れる事はしない。魔導書関連が含まれるとなれば、無闇に触れていいものではない事を、二人は重々と承知している。
カイトが見たのは真ん中にある机。魔法使いのメアリとキスは本に興味を示したわけだが、一番目立つのは机だ。
横に長い机であり、左側は上、右側は下に出っ張り……確認して見ると、本棚が備え付けられている。
その両棚は上中下の三段になっているのだが、全部が空になっている状態。
ただし、悪魔学や神学、魔法学のようにプレートが飾られている。
左側の上の棚には『神の数字・完全数』とあり、右側の下の棚には『悪魔・獣の数字』と書かれている。
神学や悪魔学の本棚がある以上、それを意味する物を本棚に入れていくのではないだろうか。
「……衣装室の鏡から出てきた二冊と同じ……それが五冊も。含めて六冊に。魔法書の類ではなく、謎解き用に必要だったと」
「神と悪魔の数字……ね。確かに謎解き要素があるのはこれだわ。それで……衣装室で見つけた二冊の本というのは何?」
キスもカイトの言葉に反応して、二つの空の本棚を見回り、机の上に置いてある白黒の本に目をやった。
「二冊は衣装室の謎解きの解答後に出てきた物です。今は手元になく、私の部屋に置いています。中身を確認しましたが、何も書かれてはいませんでした」
メアリは魔物の体毛を調べる際、本は部屋に置いてしまったのだろう。
彼女が持つ鍵が書斎に通じてると分かっていなかったのだから、仕方がない。
「ディアナと解いた謎ね。鏡から出てきて、同じ物がここにあるのなら、使うべきところなんでしょ。メアリが一度調べたのなら……」
キスが最後まで口に出す前に、七が机の上に置いてある黒の本に手を出し、中身を開いた。
メアリが調べた時は安全だとすれば、他も同じであるかの確認。それをさせようとしたと七は判断したようだ。
その結果、七の体に変化なし。意識もあるように見える。
「どう? 何かヒントになるような事は書かれてるの」
「……いえ、メアリ様の言葉通りで、何も書かれていません」
七は確認させるように、開いたところをキスやメアリに見せた。ペラペラと捲っていくが、どれも白紙だ。
他の四冊を見ても題名がどれも載ってない事も、メアリが手に入れた本と同じ。
カイトは七が黒の本を試した以上、メアリの指示を待たずに白い本を手に取り、調べる事にした。




