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書斎


「……ここのようですね。すぐに開けても大丈夫でしょうか?」


 カイト達は二階、客室とは反対、館の左側にいる。


 左側には六つの部屋があり、地図では衣装室、音楽室、薬室、絵画室、書斎の位置まで示されている。


 今回の目的地は書斎。メアリが持つ鍵で開く部屋。地図上では衣装室と音楽室の間、左側の真ん中の部屋にある。


 薬室は右側の手前にあり、絵画室は右側の奥。真ん中がまだ開けられていない事になる。


 開かずの部屋に鍵を試したものの、やはり開く事はなく、次に書斎になった次第だ。


「構わないわよ。私達が無事だったんだから、この部屋にだけ、罠が仕掛けられている可能性は低いでしょ。相手は謎解きをさせたいわけだし」


 メアリではなく、キスが先に答える。


 書斎の鍵を解いたのはカイト。メアリにさせるわけがなく、従者である彼の役目だ。


 キスがいる以上、メアリがカイトを庇って、無茶な行動はさせないようにしている。


「そう……ですね。衣装室の時も何も起きませんでしたし、三も調合室を開けた事で何が起きたのかも言ってません。キス様と彼も無事であるなら……ですが、少しは警戒はしてください」


 どの部屋もドアを開けたのは従者である。七と三も無事であり、十も謎解きに巻き込まれただけで、部屋の中に入っても無事ではあった。


「……分かってます。では……開けます!!」


 カイトは書斎のドアを開けた。それと同時に何かが起きる……事はなかったようだ。


「……書斎のようですね。魔導書もそうだけど、神学と悪魔学の本もあるのは沢山あります。魔法の成り立ちは様々な説がありますから」


 部屋が書斎であると分かると、メアリはすぐに足を踏み入れた。


 部屋の真ん中付近に机が存在し、左右と奥側に本棚が設置されており、其々の本棚の項目に神学、悪魔学、魔法学と表示されている。


「神学と悪魔学にそこまで興味がないけど。魔法を生み出したのって話でしょ。伝説や神話。物語と何も変わらないわ。奥の魔法学、その中に魔導書があれば、そっちの方が欲しいぐらいよ」


 キスもメアリが部屋の中に入った事で、魔法学の本棚がある奥へと進んでいく。


 とはいえ、彼女はすぐに魔導書に触れる事はしなかった。


 魔導書自体に呪いが掛けられている事もあれば、罠を仕掛けるとすれば、ここの可能性もある。


 魔法使いであれば、魔導書に興味を示すのは当然だからだ。


 だからこそ、キスは題名を見るまでに留めている。


「私は少し興味があります。神学の本は多少所持していますが……もしかしたら、両方の側面から回復や予知の魔法を見つけたのかもしれませんし」


 メアリは悪魔学の方に目を向ける。カイトの呪いを解く方法が神学になければ、悪魔学にあると考えているのだろうか。


『私が言うのもあれだが、神や悪魔もさして変わらないぞ。世界に干渉するのは人間を助けるというより、こちらの都合だろう。私と似たようなものだ』


 死神が事件の真相解明も、カイトのためではなく、彼女の好物が謎を解く事だからに過ぎない。


 もし、神か悪魔がこの世界に魔法を与えたとしても、人間のためではない。

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