正確
「次はメアリの鍵がどの部屋なのかを調べるわ。ピアノ室の謎解きもあるけど、時間が必要かもしれないからね」
時間というのは三が館に戻ってくる時間の事だろう。勿論、彼女が無事に戻って来ればの話になるが。
ピアノ室の謎解きは七がヒント、解を持ち合わせている可能性はあるが、絶対ではない。その後、鏡の魔導具の時のように何が起こるかも分からないのもある。
七がキスに報告していないのではなく、彼女は解答後、何が起きるかを危惧しているのかもしれない。
「分かりました。キス様達の鍵で開けれたのは全て二階の部屋だったので、この鍵もそうなのではないでしょうか? 客室を除くと、数える程度なので、すぐに見つかるはずです」
客室と反対側には六つの部屋がある。ディアナの鍵で開けたのは衣装室。アルカイズの鍵は薬室=調合室。キスの持つ鍵で開いたのが音楽室=ピアノ室。残りは三つ。
そして、メアリが持っている鍵では書斎が開く。それは彼女の記憶から判明している事だ。
残り二つの部屋。一つは絵画室は地図で表示されている事から、ピアノ室か書斎の謎を解く事で鍵を入手出来るのだろう。
ただ、もう一つの部屋は謎のまま。客室側にも謎の部屋があるのを忘れてはならない。ディアナの部屋の隣だ。
それを考えると本来の出来事において、謎解きの進行は悪かったはずだ。
だが、今回は違う。カイトと死神が参加した事によって、地図で行ってないとされる倉庫にも行けている。
そこにも謎解きが用意されていたからだ。七はピアノ室の謎解きのヒントだと考えていたはず。
キスとメアリ、カイトも七の疑いが解消されたかのように、二階へ向かおうとしている。
残り三部屋だとしても、カイトがどの部屋にするかを口出しするのは駄目だろう。
『……待て。君は七の説明を聞いて、違和感を持たなかったのか。私は三よりも彼の方が怪しく思えたぞ』
死神は七に疑問を感じなかったカイトに警告した。
「えっ? 彼の言葉に偽りはなかったんですよね。それは僕よりも貴女の方が分かっているはずで……」
カイトは死神の言葉を頼りにメアリとキスに間違ってない事を伝えた。
彼が七を庇う理由もなく、下手にそうすれば、メアリに害を為す。それを彼女達が理解しているから、納得した面もある。
『ああ。彼の説明に間違いはなかったが……正確過ぎる。メアリ達は君が見ていると思ってるからこそ、それを疑わない。だが、実際はどうだ? 君は彼が言うように見えたのか』
「僕には薄暗くて……あっ!!」
『キスのために念入りに調べる事を彼だけの力で出来たのか。しかも、零がいる状態でだぞ』




