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答え合わせ

「メアリ様に魔法を使わせるわけにもいきません。調理場からの明かりだけで、何とか見えますから」


 カイトの目では無理でも、死神が見る事で薄暗さを帳消しする。とはいえ、彼自身はちゃんと見えるわけではない。死神の言葉を待つ必要がある。


『仕方ない。一応、私には全体が見えてはいるからな。嘘を吐く必要もない。まずは七にどんな構造なのかを説明させるのが先だぞ』


「すみません。内部の説明をお願いします」


 死神の言葉をカイトが代弁する。


「……ゴミ捨て場と調理場は隣接してません。ゴミは真下ではなく、滑らかな灰色の下り坂で離れたゴミ置き場に流れていきます。その出口にも搬入口のような赤い扉があるはずです」


 七の説明通り、搬入口の内部を見ると下り坂になっており、その先に扉のような物も見える。ゴミの重さで開くように両開になっているようだ。これは臭いや煙対策でもあるのだろう。


「引っ掻き棒では出口まで届かない。詰まった時に押す事が出来るだけです。ゴミをこちらに戻すのは無理でしょう」


 カイトが見る先にゴミが詰まった様子はない。先程零が捨てたゴミはスムーズに流れたのか、彼女が押し込んだのかもしれず、試してみる事は出来ない。


「壱。その引っ掻き棒とやらは、搬入口のすぐ横に立て掛けられてますよ。試してみてはどうですか」


 メアリが言うように、搬入口の横に鉄の棒が置いてあった。側にあるのだから、ゴミを奥へと押しやるための道具だと分かる。


 引っ掻き棒とは名ばかりで、その先端は尖る事もなく、引っ掛けるようにもなっていない。袋が破けないように丸くなっているようだ。


「やってみます……これは少し……無理そうですね」


 カイトは顔と一緒に鉄棒を持った手を差し入れようとするが、そんな幅はなかった。顔と腕、どちらかしか入れられない。


「七の言う通り、鉄棒は扉に思いっきり伸ばさないと届かないです。そこから何か取り込むのは到底かないません。ゴミを回収するとしても、館の外側しか無理かと」


 肩を入れて、無理に腕を伸ばしたところで、鉄棒が扉に触るのが限界。そこから物を引っ張り上げるのは、先が丸い棒では駄目だとカイトは七と同じ判断となる。


「七の言う通りのようね。アンタが嘘を吐く理由もないし……いいわ。今回はお咎めなしにしてあげる。さっさと次の場所に向かうとするわよ」


 キスは七を疑った事に謝る事なく、すぐに次の行動に移ろうとしている。


「……良かったです」


 メアリの方がキスよりもホッとした顔を見せている。今いるメンバーの中に共犯者がいない事に安心したのもあるが、純粋に七がキスを裏切ってない事に対しての安堵だろう。

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