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命約の穴

『そこまでキスも馬鹿ではないだろ。自身が連れて来た従者だとしても、疑うところは疑う。魔法で調理場を見たのも、零だけの動きを把握するためではないはずだ』


 キスがわざわざ魔法を使ったのも、七が零に対して意味深な視線を送ったからだ。七がキスを裏切るような事はせずとも、何かをしようとした節があったのだろう。


 それを疑うというのは言い過ぎかもしれないが、絶対的な信頼関係、メアリとカイトの主従関係にまでにはなってはいないようだ。


「だったら、何でキス様は」


『命約ではないか。キスは眠らされたのだろ? 何故、七が身代わりにならない。死ぬような怪我でしか発動しないわけではないはずだ』


「そうです!! 本当なら七が身代わりになるはずなのに。だったら、キス様が眠らされたのは」


『であれば、ディアナ殺害に気付かれる可能性がある。彼女が殺すのも皆無だろう。命約にも穴があるのではないか? 先にキスが眠らされたわけではないだろ』


 順番を考えるならば、先に従者達が眠らされたはず。キスの身代わりで、先に七一人が眠る事になり、カイト達が異変に気付く事になるのではないか。


「七が先に眠らされて、キス様も同じ匂いを嗅がされたから。同じ方法を連続で受けると発動しないのかもしれませんね」


 それが斬撃や殴打等の攻撃であれば、違うのかもしれない。受ける箇所も違えば、強さも変わってくる。だが、匂いが同じであれば、それに変化はないのだろうか。


 メアリの従者はカイトしかおらず、命約を結んでいた時も無茶な行動を控えていた。


『メアリは兎も角として、キス達は多くの従者がいるのだろ? 館の管理、世話役、従者も色々な役割はあるだろうが……一番はやはり身代わり。一人が身代わりになれば、同じ者ではなく、次に移行するのではないか?』


「確かに……そうだと納得出来ますね。メアリ様と別の魔法使いが会う時、五人ぐらいの従者が控えている事が多かったと思います。一人なのは流石に……」


 この館に連れて来ていいのは従者一人のみ。本来、他の魔法使いの場所へ訪問するにも五人までは許容されている事が多いようだ。


 それは魔法使い自身が身を守るために必要な事なのだろう。


 従者一人なのは危険だとディアナ達も察しはしたものの、ここまでとは予想していなかった。


 こうなる事を予知して、ゴールド=ゴールがそうしたのか。予知の実験としてとも考えられはしないだろうか。


「最後。私は零を、メアリが三に疑問を向けたわけなんだけど、ある事で完全ではないのよ。証拠が見当たらないからじゃなく」


「……証拠は確かにありませんね。白を黒にするわけにはいきませんから」


 魔法使いの言葉を従者が否定するのは難しい。彼等の言葉は絶対に等しいからだ。


「……あっ。そういう事ですか。私のせいでもあるのですね」

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