表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/491

足枷

「なるほど……そうなると、二つの可能性がありますね。零と三が共犯者である事と、三は緊張で意識を失いかけたのを、零がそれを後押しした……」


 三が意識を失いかけたのは偶然で、それを利用した。


 それに零が三に駆け寄る事で、七が眠った際に動くのはカイトになる。だからこそ、カイトを七の元に近寄らせるため、彼女は先に動かなければならなかった。


「七のベッドの匂いが強かったのは、キス様の従者である彼の方が優秀で、念入りにした? そこに僕を行かせないと駄目になって」


『そう取る事も出来るという話だ。確固たる証拠もない。魔力があるのは分かっても、魔導具自体は見当たらない。匂いは私達の判断に委ねているだけに過ぎない』


 それはキスも分かっている。零を怪しみながら、何も出来ないのは証拠がないからだ。


 ゴールド=ゴールの従者でもある事から、下手に手を出すのは継承にも影響を与えるだろう。


『それにある事が彼女達を疑う足枷となってもいるわけなんだが』


 彼女達というのは零と三の事だろうが、二人に共通する部分があるだろうか。従者であるのはカイトや七も同じ。性別が関係するとも思えない。死神が言う足枷とかは何か。


『そろそろ切れるか。キスには残念な話になるのだが、匂いは均一だった。何処かが強い事はなかった』


 死神はカイトの会話の時間が切れる頃だと、キスに質問された事に答える。


 彼が匂いの判断をしているわけではなく、死神が確認しているからだ。答えるには死神の言葉を待つしかなかった。


「……強い匂いは感じませんでした。そこまでになると七も気付いていたかもしれません」


「確かにそうね。良い線ではあると思ったんだけど……七が眠った以上、零が眠らされたのも演技ではなくて、アンタの耐性が強いだけか」


「のようですね。キス様の従者である七と零は耐性は同じくらいな感じはしますし」


「メアリの話を聞いたら、魔力が体にある分、耐性が七達よりも強いのは納得出来るわ」


 カイトの言葉によって、キスとメアリは零が演技をして、彼等を眠らせた可能性を否定した。


 七と零は耐性は同等、それに三も加わるかもしれない。カイトだけが体に魔力を宿している事で、一つ上をいくのだろう。


 その四人の力の差はキスだけでなく、メアリも同意見のようだ。


「……待ってください。七と零の耐性が同じだとすれば、二人共演技を……寝なかった可能性があるんじゃないですか?」


 カイトだけが匂いを二回受けた事で眠ってしまっただけで、零と七は一回だけなのだから、起きていてもおかしくはないはず。


 キスの従者だからと言って、彼も演技していた可能性をなしにするのは駄目でないのだろうか。


 勿論、カイトが直接二人に言ったのではなく、頭の中で死神に疑問を投げてしまった形だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ