表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/491

視線

「メアリ様……ありがとうございます。それでしたら、七をお借り出来ないでしょうか。彼の方が段取りを知ってますから」


 零が選んだのは七。先程まで手伝っていたのたから、七を選ぶのは当然ではある。


「分かりました。キス様もそれで大丈夫ですか?」


「構わないわよ。コイツが選ぶのであれば、七だと思っていたから。七も分かってるわね」


 キス的にはカイトより七の方が優秀だと思ってはいるのだろう。それだけでなく、零の監視を継続させるためでもある。


「……承知しました」


 七はそう言いながら、零に厳しい視線を向ける。監視対象として、そういう目で見るのは間違ってない。だが、相手にバレる可能性もある。


 最初に指示された時はそんな視線を向けてはいなかったのだが、彼女が七を選んだ事で、主の側にいられなくなった事への苛立ちからなのか。


 零も七の視線に動じない。食事の準備中にも彼がそんな視線を向ける事があったのか。


 カイトが三と共に二人を呼びに行った時もそんな感じはなかった。


 零も七に監視されている事に気付き、それを確信したいため、カイトではなく、七を再度選んだ可能性も生まれてくる。


『……二人の態度が気になるな。零の言葉に対して、七は良く思ってない。仕事の事を考えれば、彼もそうなる事は分かっていたはずだ』


「確かに……そうですね。監視対象だとはいえ、あの視線を向けるのは」


 七の視線も気付けば、元に戻っている。それについて、キスが彼を咎める事はなかった。


 零と七は調理場へ。キスとメアリ、カイトは従者の部屋に向かう。


「この部屋の扉は開けたままにしておくわ。何か怪しいところがあれば、私に声を掛けなさい。魔力を探るのはメアリでも問題ないわよね。危険なところはないだろうし」


 カイトが従者の部屋のドアを開ける。そういえば、三と七を追って、二階に行った時に鍵を掛けてはいなかった。


 部屋の中は朝一と同じ。カイト達が慌てて二階へ向かった時の状態そのまま。


 零は整理整頓する事で何かしらの証拠を消さないようにと、メアリ達が調べた後に片付ける事にしたのかもしれない。


 とはいえ、一度は零も確認はしているはずだと、キスが安全だと思うのはそういう事だろう。


「……何か他に気になる事でもあるのですか?」


 カイトとメアリは従者の部屋に足を踏み入れるのだが、キスは部屋の入口前に立ち止まり、食堂の方へ体を向けている。


「……七の様子が少しね。アイツの事で気になる事を見つけたのか。私と一緒に行動出来ないからと、ふてくされるような奴を連れて来たつもりはないわ」


 キスも七が零を睨んでいた事に気付いていたようだ。そして、様子が少しおかしかった事も。それが分かるのも主従関係がきちんとしている証拠か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ