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監視


『さて……あの二人が話しているように、こちらも何か情報を手に入れられるか。彼女が隠している事があるかだが』


 カイトは薬室に戻り、キスにメアリが話があるという事を伝えた。


 その時に戻ってくるのが遅いと怒られはしたのだが、キスも部屋内で話せない理由が三であるとすぐに察して、廊下へと出ていく。


 場所を考えると、逆でも良かったのだが、調合室内の行動は三の監視の元である事をキスなりに考慮したのだろう。勿論、それは三相手ではなく、アルカイズに謎解きの権利がまだ残されているからだ。


 カイトがメアリと一緒にいないのにも理由はある。


 七がこの場にいない以上、従者なしの同等の立場にするためなのが一つ。


 三の監視。これはキスからの指示でもある。メアリとキスの会話を盗み聞きしないか。彼女が毒を持ち帰らないか。


 キスは三が毒を持ち出す事を禁止している。誰もいない状況であれば、手にしてもおかしくはないからだ。


「ですが……どんな風に話を切り出せば……」


 三に疑いの言葉を投げるにしても、彼女がメアリに不信感を持つだけだ。従者同士でも危険ではある。


『主に関する質問は受け付けないか。いや……彼女は自分の意思で動いてる。聞くだけありだと思うが。館外へ出るのもアルカイズの指示ではないはずだ。人形みたいに待つだけではなくなってるぞ』


 館外に出ていくと零に伝えたのは、三の意思。


 従者の部屋でカイト達が目覚めた後、三は単独行動はしておらず、アルカイズと連絡する暇はなかった。


 彼女がアルカイズをどう思っているのか。


 従者は魔法使いにとっての使い捨ての道具に過ぎない。


 三は侵入者の誘き出す囮にされ、別行動を取らされていた。


 カイトは別だが、主に不満を持つ従者は多数いるのではないか。


 先にディアナが殺された事で、三を囮にするのは失敗している。


 彼の人形が見つかった事を本人が知っていたとしたら、今は合流した方が安全であると思わないのだろうか。


 疑問が尽きる事がない。それは三だけに対する事だけではないのだが。


「……貴方とメアリ様の主従関係。私達とは違うようですね。互いを尊重しているように見えました」


 カイトが話し掛けるよりも、三が先に彼へ言葉を投げ掛けた。


 今思えば、三は調合室を調べるわけでもなく、戻ってきたカイトの方をジッと見ていた。


 彼女の方が話す機会を窺っていたのかもしれない。


「……そうですね。僕は当然として、メアリ様も僕の意見等をちゃんと聞いてくれます。従者として、一番の主だと思ってます」


 カイトはメアリに対する素直な気持ちを三に伝えた。


『これを機にこちらもアルカイズに対して聞く事は出来そうではあるが……』


 死神は言葉を詰まらせている。その話を振れば、逆にそちらにも話を振ってくると予想は出来る。


 彼女がその話を振ってきた理由は何か。

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