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騙すための嘘

「勿論、私もキス様の手助けをするつもりではいますが……キス様は命約を再度結ぶように言ってくるはずです。それが一番の安全策ではありますから」


 メアリもカイトと命約を結ぶ事が一番の安全策である事は承知している。だが、キスがそれを提案したところで、彼女は拒否するのだろう。


「それでも私は受け入れを拒否しますよ。協力関係にヒビが入ったとしてもです。キス様を説得するのは難しいのではないでしょうか?」


 メアリとカイトが命約を結ばない事で、キスに負担が掛かるのは否めない。それを納得させる理由はあるのか。


『君の体の事に嘘を付け加えたら良い。呪いで命約が出来ない。命約を結ぶと、メアリが受けた傷がカイトに。カイトが受けた傷がメアリに。そちらの方が危険だと思わせる。予知魔法より、回復魔法を優先する事を伝えていたのが功を奏し増す』


 死神がキスを騙すための嘘を用意してきた。先がないのだから、この場を凌げば十分。


 メアリが回復魔法を欲しい理由も、その呪いを解くためと言えば、キスも信じるのではないだろうか。


「僕の呪いの内容を少し変えて、命約が出来ない事にすれば良いと思います。そちらの方がメアリ様に危険があり、それを治すために回復魔法が必要だと」


 呪い内容を少し変えるだけ。他は間違ってはいない。


 それにメアリがそんな嘘を吐くメリットはない。命約をした方が明らかに安全なのだから。


「……分かりました。キス様に伝えます。命約が繋がってない証拠も、私が少し怪我を負えばいいのですね」


「すみません」


「いいのです。キス様も見せなければ納得しないはずですから」


 キスに命約を伝える事が決まり、メアリは調合室、薬室に戻ろうとする。彼女も流石に待っているだろう。


「……待ってください。僕がキス様を呼んできますので、メアリ様はそこで待っていてください」


 カイトはメアリが部屋に入るのを呼び止めた。


『三に教えるのは早計だからな。キスだけに留めた方が良いだろう。彼女の従者である七にも黙っておいて貰おう』


 アルカイズの行方が分からない以上、余計な情報を三に与えない方が良いのは確かだ。


 だが、キスの従者である七に対しても、教えるのは控えるべきだと死神は口にする。


 カイト以外の従者間で情報交換をしていると考えているのか。


 そのような現場を目にしたのは確かだ。


 キスが零を警戒してるとはいえ、七が口を滑らせる可能性もゼロではないからだ。なんせ、主の事ではなく、競争相手の魔法使いでもあるからだ。


「……そういう事ですか。この件は従者である三に伝える事ではないですよね。言うとなれば、主であるアルカイズ様に直接言うべきです。キス様もそう思ってもおかしくありません」


 メアリも自身の判断の元、納得したようだ。


 魔法使いであるキスだからこそ伝えると思わせた方が良い。変に三にも教えてしまえば、魔法使いと従者が同等の立場になってしまう。

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