表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/491

抑止

「何ボケっと突っ立ってるのよ。この部屋の物に触れなくても構わないけど、自身の体の不調を気にしなさい。ここに七がいないのだから。私達に毒耐性があったとしても、万能じゃないの。強力な毒であれば貫通するわよ」


『……彼女は大丈夫なのか。毒耐性があるからこそ、君は止めなかったのだろ。いや……メアリが何事もなく、行動に移した事自体が怪しく見るべきだった。魔法で魔力を吸収出来なかったのだから、君に無理をさせるわけにはいかないとでも思ったはずだ』


 毒耐性は万能ではない。ある程度の毒であれば効果はなく、メアリやキス、魔法使いの体には届かない。身代わりになる命約も発動しないのだろう。


 だが、耐性を貫く強力な毒であれば、命約は発動する。食堂と調合室の距離であれば、七が身代わりになる。


 それが分かってるからこそ、キスも毒の確認をしているわけだ。


 だが、メアリとカイトだと話は違ってくる。二人は命約を結んでいない。毒は直接メアリの体に入り込んでしまう。


 それは彼女自身も分かっているはず。下手すれば、キスに命約をしていない事がバレかねない。


『だからといって、彼女と命約を結ぼうとするなよ。彼女自身が断るだろうが、君が死んだ時点でこの世界は消滅する。知らずとも、彼女の行動は間違ってはいない』


 この世界は死神が作った擬似的世界に過ぎない。カイトが死んだ時、この世界は消えてしまう。


 カイトにとってはメアリを殺させたくないだろうが、重要なのは彼自身の生存。目的は彼女達を殺した犯人を知る事。


 捕まえる事は不可能。彼自身はすでに死んでおり、数年経過しているからだ。


「……ですが、僕はメアリ様には無理をして欲しくはありません」


 カイトはメアリを止めたい気持ちはあるが、キスがいる手前、それが出来ない。


 代わりにすると言っても、メアリだけじゃなく、キスも止めに入るだろう。


 強力な毒だとしても、毒耐性を通しての方が、弱くなるはず。従者が直接触れて、死ぬよりかはましだからだ。


『止める方法……彼女を抑止する事は出来る。勿論、私が直接世界を操作するわけじゃない。メアリやキスに対してもだ』


 死神が擬似的世界を操作可能な時点で、犯人を特定するのは容易くなるだろう。だが、彼女はそれをしない。この事件を楽しむのが彼女の目的であるからだ。


 カイトに親身になっているように見えて、実はそうではない。操作出来ないわけではなく、するわけじゃない。可能だが、しないだけだ。


 メアリが今回のような行動を止める方法。そうなれば、危険な目に合うのはカイトになってしまう。だが、従者としては当然な事。拒否する権利はない。彼が上手く立ち回るしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ