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臭い

「それにしても……凄いわね。草もそうだけど、貝殻や何かの骨、怪しい液体みたいなのもあるわ。調合前後も分からないし」


「道具も色々あるようです。すり鉢やフラスコ。秤と重り。これは……何に使う魔導具なのでしょうか。この部屋全体に効果があるのは分かりますが」


 キスとメアリが調合室に入ると共に、カイトも中へと足を踏み入れる。


 調合室の中は実験室のように、様々な草や木、土、水等の様々な素材だけでなく、顕微鏡、アルコールランプのような道具が置かれている。


 それだけでなく、メアリ曰く、魔導具も用意されているらしい。


 何に使うかは不明なのが幾つかあるようだが、一つだけは彼女も知っているようだ。


「それは分かるわ。この部屋から外に出る時にでしょ。結構な臭いだもの。だからといって、こういう実験ではそれも重要なのよね」


 調合室は独特な臭いに包まれており、服にも付着しそうな感じなのだが、三からはその臭いはしなかった。


 これほどの臭いは部屋から漏れてもおかしくないのだが、それがないのは魔導具のお陰であり、部屋を出ると臭いがリセットされるのだろう。


「見た目だけでなく、臭いで判断する物もありますから。ここまでの物になると、私が分かるような物があれば良いのですが」


「調合された物でなければ意味がないから。毒液があれば使い勝手が良いんだけど。最悪、自身で調合しないと駄目かもしれないか」


 キスは素材よりも瓶に入った物を見ていく。様々な色の液体もあれば、何も入ってないような瓶もある。それは透明な液体なのか、気体を閉じ込めているのか。


「毒を確認するための魔導具は置いてあると良いのですが。この場で従者に試すわけにもいきませんし」


 カイトの体は毒を取り入れる事で、体に溜まる魔力を抑えれるのだが、メアリはそれを知らない。


 彼女の魔法の回数も減らさずに済むのだが、それを伝えるわけにもいかない。カイトが知ったのは、メアリが行方不明になった後。知っている方がおかしくなる。


「面倒ね。ヤバそうな臭いのやつを持っていこうかしら? 臭いで相手を怯ませたら、魔法で攻撃すればいいし。効果があれば尚よし……って、魔物は魔法が効かないんだったわ」


「臭いで毒になる事もあります。それも従者ではなく、少しでも耐性を持っている私達でやりましょう」


「はぁ……仕方ないわね。謎解きじゃなく、毒を見つけるためだから。文句は言わさないわよ」


 従者の重要性はキスも分かっているようだ。命約があるからといって、安易に危険な目に遭わせるわけにもいかない。


 魔法使いは毒も扱う事があるのであれば、多少なりとも耐性はあるらしい。体だけでなく、服装も付与されているだろう。


 逆に魔物は魔法耐性があり、毒耐性がない。両者に使用するのであれば、臭いを取り入れるのはありだろう。


『キツイ臭いは魔物相手でも効果ありそうだ。それを持ち出した時に消えなければの話だが』


「流石に実物を持っていけば大丈夫じゃないですか。臭いを消さないため、蓋もするはずです。容れ物自体が魔導具になっているかもしれませんし。そこはメアリ様達も分かっているはずです」

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