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本命

「間違った鍵でないのは当然よね」


 零が二人に渡したのは隣の部屋で間違いなかった。確認させるのは分かっているのだから、当然だろう。


「ですが……鍵をしたにしても、魔法で開けられるかもしれませんね。現にアルカイズ様の部屋は開けられたわけですから」


 ディアナは侵入者を部屋に招き入れたと思われているが、アルカイズの部屋に関しては、間違いなく侵入されている。三の人形が置かれていたのだから。


「一回でも魔法を減らせたら十分。それだけで良いのよ。鍵を開けただけで」


 キスは悪い笑みを浮かべながらも、鍵をかけるだけで問題ないとばかりに言ってきた。


 魔法で鍵を外されてしまえば、塞ぐ事を禁止されているのだから、同じ事は繰り返されてしまうはずなのだが。


『罠を仕掛けるつもりなのだろうな。穴を完全に塞ぐのではなく、時計をズラした時に作動する魔導具を置いておくなどが出来るのではないか。鍵をするのは囮と考えれば』


 本命は穴に仕掛ける罠。


 キスもそれを言わず、部屋の封鎖だけを口にするのは上手い考えだ。


 侵入者は何処で聞いているのか分かっておらず、零の疑いも解けてないからこそ、その件は黙っているわけだ。


「なるほど……ですが、敢えて鍵をしない方がもう一度穴を利用するのではないでしょうか?」


 罠に嵌めるなら、メアリ達が穴の存在を知らず、部屋を放置した方がいい。


 カイトがそういう考えになるのも分かる。一度成功すれば、何度も使いたい気持ちになるのだろう。


『キスは情報が筒抜けだと判断したのだろう。侵入者が何処で聞き耳を立てているのか。その情報を渡す者がいるかもしれない』


 だからこそ、キスは鍵をかけるだけの情報を皆に伝えたのだろう。


「どのような薬を使ったのかは置いとくとして、これで私達が眠らされた方法は分かったわね。次に行くのは薬室よ」


 メアリとキスの部屋に穴が空いてる事が確認出来ただけで、今の段階で隣の部屋は調べる事はしないようだ。


 アルカイズ捜索時、メアリ達の部屋だけでなく、他の客室の中も見回っている事もある。


 メアリとキスが鍵をかけた事で、部屋を荒らされる事なく、保存出来るのも一つの要因だ。


「……彼女は何処に? 館の外に出る時間を決めていましたよね?」


 三が薬室の鍵を所持しているのだが、その姿はいつの間にか消えていた。ほんの少し前には、外出時間を零と話しているのを、メアリも耳にしている。


「彼女はアルカイズ様の部屋を見に行きましたよ。メアリ様の部屋みたいに穴が空いているかの確認だと思います」


 彼女が姿を消したのは、アルカイズの部屋もメアリとキスの部屋同様に、穴があるのかを確認しているようだ。


 それも部屋のドアを開けっ放しにしていれば、分かる事なのだが、律儀に閉めていたせいで、消えたように見えたのだろう。


 キスもそれを見ていたからこそ、騒ぎを起こす事もしなかったわけだ。

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