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方法

「ここで立ち止まっても仕方ないわ。アンタはさっさとメアリの部屋を調べなさい。その間にこの話を終わらせておくから」


 三が外に出ると決まった以上、メアリとカイトが何かをする必要はない。むしろ、時間の経過と共に匂いが消えるのなら、メアリの部屋を早く調べなければならない。


「……ですね。壱は私の部屋を調べてください。ドアは開けた状態でお願いします」


 メアリもカイトに自室を調べるように指示する。ドアを開けたままにするのは、怪しい行動をしないとキスに見せるためでもあるのだろう。


「私の部屋の匂いは分かりますね」


 カイトは従者として、メアリが使う香水の匂いは分かっているのだが、それを死神が共有出来ているか。


 彼女はカイトと共に部屋へ入る気はないようだ。


 三の外出を許可したとはいえ、キスの判断を気にするのも無理はない。


『キス達の会話は気になるが、私はこちらに集中する。時間をかければ、キスに怪しまれるだろうからな』


 従者の部屋で起きた集団睡眠がメアリの部屋でも起きたのかを、死神は確認しなければならない。


 だが、死神が匂いに集中する事で、キス達の会話を聞き耳を立てるのは難しくなる。


「という事は……僕が耳を傾けた方がいいのですか?」


 死神の耳ではなく、カイトがキス達の会話に集中する。キスに部屋を見えるようにするのだから、そこまで距離が離れている事はない。


『いや……君もこちらに集中して、会話を聞くのはメアリに任せよう。後から聞く事も出来るはすだ』


 死神は三人の会話をメアリに任せるよう、カイトに指示した。


 部屋を調べるため、死神が出来るのは見聞きであり、カイトの体を動かす事は出来ない。


 表情も変える事も無理だ。下手にキス達の会話に聞き耳を立て、カイトの表情が変わるかもしれない。それを避けるべきところだ。


 メアリもそのつもりで自分だけが残り、カイトに部屋の中を調べる事だけに集中させようとしたのかもしれない。


「分かりました。ですが、匂いを嗅ぐ以外に何かする事はありますか?」


 カイトが部屋の匂いを嗅ぐ事で、死神にそれが伝わる。


『眠らせる匂いが混じっていたとして、どうやって、それを部屋に入れたのが問題となる。メアリやキス相手に魔法は使っていない。魔導具も魔力を使う分、気付かれる可能性はあるが……』


 カイト達従者はともかく、メアリとキスが魔法で眠らされたとしたら、それは魔力が使われ、気付くはず。魔導具に関しても、魔力を必要とする分、使い方次第だろう。


 料理時に魔導具を使う際、魔法使い達は気にも止めないからだ。他にも日常で使う魔導具の魔力なら尚更なのではないか。


『別の世界では魔法ではなく、魔導具ではない道具で、相手を眠らせる方法もある』


 それを魔法使い達の世界で知る事はあるのか。あるとすれば、魔法使いではなく、従者になるのではないだろうか。


『それだった場合、何かしらの痕跡があってもおかしくはない。何度も練習出来るようなものでもないからな』

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