表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/491

館外

「どうしました?」


 零は足を止め、こちらに振り向いた。魔物の件に触れる言葉はなし。三に先の言葉を促している。


 メアリとキスも二人を無視して、メアリの自室を調べればいいのだが、耳を傾けていた。


 三が零を止めた行動は、魔法使いの行動を妨げになったとも取れる。それを承知でした事であれば、気になるのも無理はない。


 まして、彼女は魔物の体毛を取ったのだ。それを手にする許可を零にするのもおかしな話になる。


「キス様とメアリ様を薬室に案内した後なのですが、館の外に出ては駄目でしょうか? 勿論、逃げるつもりはありませんし、森の中までは行きませんから」


 彼女が零に頼んだのは館外に出る許可だった。


「それは……アルカイズ様を捜すですか?」


 三は館の捜索は十分したと言っても過言ではない。メアリ達と共に捜索もしたのにも関わらず、アルカイズを見つける事は出来なかった。


 気配遮断の魔法があったとしても、対策の注意深く見る事は実行している。それでも無理だとすれば、考えられるのは外。


 アルカイズが外に出た理由は分からない。侵入者の存在は、彼の部屋に三の人形が置かれていた時点で怪しんでいたはず。


 侵入者が館内にいるのなら、外の方が安全だと思ったのか。囮にするような言葉を三に投げていたのもある。


「そうです。ここまで調べて、見つからないのなら、外も確認しておくべきだと思います」


「……危険です。侵入者の存在だけでなく、魔物がいてもおかしくはない状況なのですよ。まして、貴女の人形が発見されているのですから」


 メアリは三の行動を怪しむ事なく、彼女の身を案じた。


「メアリ様の言う通りですよ。従者一人で出るのは無謀じゃないですかね。違う理由でキス様達魔法使いも調査に出たいと思っているのを止めてるのもありますから」


 零が言っているのは森に魔物が存在するかの調査だろう。


 死体でなく、他の魔物が生存しているのか。素材以上の情報が手に入るのは確実だ。キスだけでなく、メアリも本当は外に出たいと思ってる面もあるだろう。


 だが、実際は死神が介入しただけ。魔物は存在しないのが事実。


「……私は大丈夫です。私だけでなく、壱も危険になりますから。優先するのは魔法を継承させて貰う事なので」


 メアリはカイトの身を案じる言葉を口にする。


 彼女はキスと違い、カイトと命約をしていない。危険なのはお互いになる。


 それを言葉にする事で、命約をしていない事に疑いを持たれなければいいのだが。


 キスの反応はどうなのか。アルカイズ捜索のためとはいえ、先に館周辺を調査する事を許すのか。


 彼女が言葉を発する前に、三がメアリと零へ返答を返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ