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変身

『その場合、ダイイングメッセージの存在を犯人に知られてはならない。揉み消すのは分かるからな。知られないように工夫する必要がある。その上で、君達が分かるようにもしなければならない』


「それは……」


 カイトは言葉を詰まらせた。


『言葉にしたが、実行するのは難しい。ディアナは反撃もせず、一撃で殺されているのは目に見えて明らかだ。彼女にそこまで考える余裕があったかどうか』


 ディアナは相手に刺された事で動転した可能もある。全ては憶測に過ぎない。


『これも一つの可能性だ。あれがダイイングメッセージだとして、それを導くためのヒントも欲しいところではあるからな』


 本当にダイイングメッセージだとして、あの表が意味する事のヒントはないのか。そこまで至らずに意識が消えてしまったのか。


 それをするには指差したように、体で表すしか方法がない。


 それが僅かに曲がった指の先。真っ直ぐではなく、第一関節部分が曲がっている。


 真っ直ぐだと侵入者にバレると考えた事かもしれないが、明らかに不自然ではあるのだ。


「確認も出来たわけだし、後は鍵を捜すだけね。机の中を調べる時は、魔導具に触らないように注意するのよ」


 今回、キスはディアナの体に触れる事はなく、カイト達従者に指示する側に回っている。


 ただし、零はそこに含まれない。彼女は部屋の中にまで入らず、廊下から見ているだけ。


「キス様。先にディアナ様をベッドで寝かせませんか」


 メアリも見るだけに留まっている。やはり、何度も遺体に触れるのは嫌に決まっている。それが魔物や興味を示す物であれば、違うのだろう。



「それだったら、七と壱でディアナを運びなさい。そこは丁寧にしなさいよ」


 キスの指示でカイトと七の二人でディアナを運ぶ事になり、カイトが上半身側、七が下半身側となった。


『……ディアナで間違いないな。死体をも魔法で変身させていたら、流石にメアリ達でも気付くのか』


 カイトの目からディアナの顔が見える。苦悶の表情でないのが救いでもある。


「もしかして……十の死体を使って、ディアナ様の死体に変身されたと……」


『いや……それはない。血の量がある。十の死体でそれは無理な話だ。あるとすれば、アルカイズとなるが……』


 更に言えば、ディアナが十の死体を見つけた場合に出来る事である事であり、彼女にそのような時間はなかった。


 変身魔法といえど、いずれかは効果は消える。それがディアナと別人だった場合、侵入者の協力者だと疑わなければならなくなる。


 彼女はメアリと行動する事も決まっていた。十がいなくとも、少なからず安全ではあったはずだ。


 それともう一つ。ディアナが死を偽装した場合、安全かと言われたら、そうではないだろう。


 メアリ達は騙されるかもしれないが、侵入者がそれを知らなければ意味がないのだ。

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