処分
「よし!! メアリも少しは休めたでしょ。早速だけど、行動に移らせてもらうわ。アンタ達も水分補給ぐらいは許してあげるから」
キスは席から立ち上がり、すぐにでも行動に移そうとしている。
その言葉に七だけでなく、カイトと三もメアリとキスに用意した茶ではなく、調理場へ行き、コップ一杯の水を流し込む。
「ゆっくりで構いませんから。申し訳ないけど、皆が朝食を食べる時間はないので、昼食は私やキス様だけでなく、従者にも量がある物をお願い出来ないでしょうか?」
メアリはカイト達が朝食を食べれなかった事に対して、昼食にちゃんとした物を用意するよう、零に頼んだ。
「本当に従者に甘いわね。昼食は昨日みたいに用意した物を自由な時間に食べるのじゃなくて、集まっての食事にするから」
三は途中で離れるかもしれないが、零以外は一緒に行動するのだから、昼食の時間を決めても問題はないはず。
とはいえ、零にも館を管理する仕事がある。優先するのは館の主の命令なのだが。
「朝食の準備も出来なかったわけですし、それはやらせて貰いますが、その前に……」
零は何を言うのを躊躇っている様子がある。
「……彼女達は調理場で何も話していなかったんですよね」
彼女はメアリとキスに何を言おうとしているのか。
『そうだな。だが、気にしたのは七が向かってからだ。零が三と二人でいる間は聞き逃しがあるかもしれない』
死神が聞き耳を立てたのはカイト以外の従者が調理場で三人揃ってからだ。
「ディアナ様の遺体はどうすれば良いのでしょうか? 住む場所に戻すべきですよね」
零が気にしたのはディアナの遺体の処分。
彼女は十が殺された場所の部屋も掃除しなければならない。
今回はディアナの死体が残っているうえ、魔法使いだ。どう扱っていいのか判断がつきにくいのだろう。
「そうですね。ディアナ様が住む場所に届けるのが一番でしょう。ゴールド=ゴールも自身の敷地に魔法使いの遺体を埋めるわけにもいかないはずです」
「下手にやり方を違ったら、魔法使いの呪いがあったりするかもしれないわね」
メアリは彼女の遺体をディアナの土地に返すよう指示した。
キスは冗談まじりに言うが、魔法使いが死んだ場合、自身が持つ土地に墓を建てる。それが一番健全。火葬や土葬等、魔法使いで弔い方が違っているようだ。
「継承争いが終わるまでは、この敷地内から出る事は死んだとしても出来ません。終了するまで、ディアナ様の遺体は部屋に置いておく事になるのですが」
継承争いが終わるまで、死体でも敷地外への移動は禁止。ディアナの遺体を処理出来ない以上、部屋に置いておくしかない。
「それは仕方ないわね。今日含めて、後五日間。そこまでは綺麗な死体のままにしておくべきよね」
普通に放置すれば、魔法使いの死体でも腐っていくだろう。防腐処理が出来ればいいのだが。
「それが出来る魔導具があるかを主に聞いておきます」
零はゴールド=ゴールにディアナの遺体をどうするかを連絡するようだ。




