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返答

『アルカイズの従者、三だ。二人が協力するのであれば、不利になるのは彼だからな。まぁ……キスも彼女がいるのが分かっていて、口に出したのもあると思うぞ』


 従者からすれば、メアリとキスが協力する事で、主であるアルカイズが不利になるのは明白。


 それは彼女も分かっているはずだが、表情を変えないのは従者としては流石である。


『それはアルカイズと侵入者が協力していた場合の牽制も兼ねてだな。これで二対二にもなる。そうでなくとも、二人が常に一緒にいたのなら、不利になると、裏切りを唆すように姿を現すかもしれない』


 二人の協力関係を無くすため、アルカイズが姿を現す事もありえる。


「メアリ……アンタの返答は?」


 メアリはキスの提案になかなか答えない。


 キスも急かせず、それを静かに待っている。


 その理由は、メアリが感視の魔法を使った事を、キスも分かったからだ。


 だが、メアリは感視の魔法によって、キスの提案の虚偽を読み取ろうとしているのではなく、目を向けていたのは三の方。


『メアリもキスが三に対して、揺さぶりを掛けたのが分かったのだろうな。従者の表情に変化はなくとも、感情は別かもしれない』


「それは分かるのですが、今はキス様を感視するべきなのでは? 協力関係をどう感じているのかを知りたいはずです」


 メアリはキスではなく、三を選んだのか。確かにアルカイズと三の事を考えれば、その選択肢もある。


 だが、どちらが重要かといえば、キスがどう考えているかだろう。


『それは無理だろうな。キスはメアリが感視の魔法を使う事を知っているんだ。感情の変化も操作するはずだ』


 キスはメアリが感視の魔法を使える事を知っている。メアリと相対する時、気構えはするはずだ。


 例えば、提案しておきながらも、別の事を考える。感視の魔法を警戒するという気持ちだけでも、読み取るのは難しくなるだろう。


『キスがメアリの感視を使っているのを分かっていても、落ち着いているのはそういう事だろう。三はメアリの感視を知らないだろうが、君が彼女を見続ければ、警戒されるぞ』


 メアリが三を見るのは感視のためだが、三からすれば、アルカイズの件の事だと勘違いしてもおかしくはない。


 だが、カイトが下手な行動を取れば、メアリが何かをしたと気付かれては元も子もないのだが。


 メアリは一度顔を下に向ける。昨日、今日と感視を連続で使用する事で魔力だけでなく、目の疲れも出てきているのかもしれない。


「その提案……引き受けます」


 メアリは一息入れて、キスの提案に返答した。その時にも三の感情の変化を盗み見たところで、感視の効果が消えてしまった。

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