提案
「私もアンタと同意見ね。侵入者の方から狙ってくるんだから、下手に捜す方が時間の無駄だったのよ。そこを狙い撃ちすればいいわけ。従者が側にいるだけ、こちらが有利でしょ」
キスは用意された果物にフォークを突き刺した。
侵入者がキスを殺す場合、先に七を殺さなれけば届かない。それは侵入者も分かっているはず。
更に言えば、侵入者が外に従者を置いていたら。命約は距離で効果が消えるが、館周辺の森の中だと持続していてもおかしくはない。
「……本当は嫌なんだけど、謎解きを早めるために、私に協力しなさい。二人で行動する方が安全なのもあるし」
安全。従者も含めて四人で行動すれば、侵入者もおいそれと仕掛けてくるのは難しくなる。
襲ってきたとしても、キスはメアリを盾にするのも可能だ。勿論、それは逆も然り。
「見返りに、私達でゴールド=ゴールを見つけた場合、二つの魔法を別々で継承出来るのなら、そうしても構わないわ」
ゴールド=ゴールがメアリ達に継承する魔法は回復魔法であるのだが、彼は未完成であるが予知魔法も所持している。
予知魔法はメアリ以外、回復魔法同等、それ以上にキス達も喉から手が伸びるぐらいに欲していた。
魔法使いとしては両方手にするのが理想だが、自分の身には代えられない。
手柄を分けるのが一番良い。今はメアリとキスの二人しかいないから可能な事だ。
「アンタはそれが出来るのか分かる? いや……主に予知魔法も継承出来るのかを聞いて欲しいわ」
零が先に予知魔法の話をした時、継承する魔法に入るのかを詳しくは知らないと、メアリ達に告げている。
予知魔法が継承出来るのが一番のポイントになる。零が館の主に連絡が可能であれば、この事を先に聞くべきなのだ。
「分かりました。返事が来るとしても、明日の朝になると思いますよ」
零はそれを了承。魔法継承を分担するのは、零が決めるのではなく、ゴールド=ゴールが決める事だ。
メアリとキスには聞くだけの価値はある。
『キスが協力の提案か。本来、この時には無かっただろうな。今は君がいるから、立場は同じだ。それに予知の魔法があるのを知ったのも大きいか』
キスも一度はメアリを敵視していたのにも関わらず、協力を申し出たのは、危険を察知しての事だろう。
本当ならメアリにはカイトは付いておらず、単独で動くメアリの方が狙われるだろうと、キスは協力を申し出なかった可能性もあった。
『この申し出に彼女の表情の変化は……なしか。この状況でも現れないのだから』
「彼女というのは……」
メアリとキスが協力に関係になった場合、それを不服に思うのは誰なのか。




