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匂い

「壱。キス様も許可してます。気になった事を話してください」


 メアリもカイトに向けて頷き、従者の部屋の出来事を話した。


「僕が意識を失う前なのですが、僅かに薬品のような匂いがありました。それは起きた時にはすでに消えていたので、匂いを確かめるのは難しいかと。勿論、それが魔法でなければですが」


「薬のような匂いね。私達が気付かなかったのだから、魔法ではないわよ」


「その匂いはすでに消えているのですね。それだと魔導具が使われたのか確認するのが難しいかもです」


「ですが、僕は匂いを覚えているので、メアリ様の部屋にも使われたのかが分かるかもしれません」


 カイトは落ち込む二人に、部屋の匂いを確認出来るように提案する。


 彼自身の鼻ではなく、死神の嗅覚頼りになるのだが。


「……私達に気付かない匂いを嗅ぎ分ける事が出来るわけ? その自信が嘘でなければいいんだけど。調べるのはメアリの部屋だし、試してみるのは構わないわ。その時は私も一緒にいさせてもらうから」


 二人が気付かない匂いにカイトが判断がつくののか。キスは疑問に感じながらも、メアリの部屋という事で許可を出した。


 これがキスの部屋であれば拒否していただろう。そして、メアリの部屋で匂いを確認出来れば、自身の部屋を調べる許可を出すのかもしれない。


「……分かりました。壱の事を信じます」


 逆にメアリの方が不安そうな顔をしている。彼女は誰よりもカイトの事を知っており、そんな事が出来ないと分かっているからだ。


「次に行くわよ。仮にディアナ以外全員を眠らせたとして、何故私達は何もされてないのかね。眠らせた以上、全員を殺せる時間はあったはずよ」


 ディアナが殺されてから、カイト達が起きるまでに、全員とまではいかなくとも、誰かを殺す時間の猶予はあったはず。


 ディアナ一人だけに留まった理由は何か。


「それは……鍵を開ける事が出来なかったのではないでしょうか」


 カイト達のいる従者の部屋、メアリとキスの部屋には鍵が掛かっていた。ほんの僅かな隙間から睡眠ガス、匂いは仕向けられても、鍵を解除する事は出来なかった。


「それも考えられるわね。魔法を温存する必要があったかもしれない。そこで疑問がもう一つ。侵入者はどうやって私達がどの部屋を使っているのを知ったわけ」


「侵入者は館に一度は入ってるのは十殺害により、証明されています。その時に私達の行動を盗み見ていたのなら」


 侵入者は十殺害及び、アルカイズの部屋の中にも入っている。何時、何処かでメアリ達の行動を見ていた可能性はある。


『可能性はあるが、極めて難しい。アルカイズの気配遮断の魔法を気にしていたのだから、周囲を警戒していたはず。侵入者がメアリ達を見ていたのなら、こちらが気付いていてもおかしくはないはずだぞ』


 メアリやキス、ディアナはアルカイズの気配遮断を警戒していた。その時に覗き見るのは難しくなる。


 それに追加するのであれば、十殺害前には客室で隠れていたのだとすれば、身動きは取れないはず。


 その後、館の外に逃げていたのであれば、何時確認したのか。


 館の外から確認するにしても、この館には窓がないのだ。

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