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魔導具

「カ……壱。継承権の話が済むまで、この部屋は安全だと思います。部屋の用意は私がやるので、ゆっくりと従者の部屋で休んでください」


 メアリはカイトの顔を見ず、部屋にテーブルやベッド、クローゼットの位置取りを考えながら、口に出した。


 彼女が従者を休ませると言葉にしたのは、カイトのためでもあるが、ディアナやアルカイズが聞いている以上、それを実行に移さなければならない。


 メアリの身を心配する以上、離れた部屋よりも同じ部屋の方が彼的には安心であり、体を休ませれるのだが。


『それを本人に言う選択肢もあるが、ここは従者の部屋に向かう方がいいだろう。それを名目に館の中を少しでも知れるはずだ。君が自由に動ける保証はない。むしろ、制限されるのだろ?』


 死神はカイトの筒抜けとなった考えに答えた。


 カイトの行動が制限されるのは、メアリと共に行動するのが常になると踏んでの事だ。


 従者は魔法使いと行動する時は常に側にいるのは当然。単独行動をするにしても、主の命令があればこそ。


 こんな時だからこそ、休むのではなく、行動しなければならない。


『それと従者同士での情報交換はどうだ? 主達がどのような人物なのか知る事も出来るのではないか?』


「……分かりました。時間までは自由にさせてもらいます。その代わり、私が迎えに行くまで、メアリ様は部屋にいてください。誰であっても中に入れては駄目です。危険が及んだ場合、すぐさま呼んでください。鈴は忘れてませんよね」


「当然です。そちらもですよ。危険が訪れた場合、鈴を鳴らすのを忘れないでください。絶対ですからね」


 メアリが鞄から鈴を取り出し、鳴らしてみると、共鳴したかのようにカイトの体、燕尾服のポケットから同じ鈴の音が聴こえてくる。


 魔法使いは魔法だけでなく、魔力を使った道具も開発している。カイトとメアリが持つ鈴はペアであり、片方が鳴ると、もう片方も示し合わせたように鳴るようになっている。


 二人は命約を結んでいない。傷を受けた状態で知ったのでは遅すぎる。主が危険なのをいち早く知らせるための道具である。


 それを魔法が使用されたと判断されるかは分からないのだが。


「……はい。ですが、僕から鳴らす時は三回……それ以上でも以下でもありません。違った回数だった場合は僕ではなく、別人だと思ってください」


 カイトはメアリに頭を下げ、部屋から出ていく。


『過保護なのはどちらなのやらだ。逆に何があってもお互いに鈴を鳴らさないのではないか? 君はそのつもりのようだが』


 カイトは否定しない。頭の中を読まれている以上、死神に嘘をつく事は出来ない。


 実際、メアリに助けを求めても間に合うかどうか。魔法使いが本気になれば、従者はすぐに殺される。


 しかも、カイトが死ねば、擬似的世界は終了してしまうのだから。


『彼女よりも危険なのは君だからな。命約がある以上、先に魔法使いを狙っても、従者に肩代わりされるだけだろ。下手に警戒される事にもなりかねない。普通であるなら、従者を先に狙う。普通なら』


 カイトとメアリは命約を解いている。これを知らなければ、先にカイトを狙う。だが、この情報を知る者がいたとすれば、話は別となる。彼が警戒するのも仕方がない。


『君が介入する事で、事件の変化が起こるとすれば、零が説明を終えてからだろう。実際、二十時にメアリ達は食堂に集まり、説明を受けてたみたいだ。それまでの時間、誰も部屋から出なかったようだぞ』

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