幕間 ー3ー
「あの三人の反応を考えると、アルカイズが姿を見せないのは違和感はある。それはゴールド=ゴールも同じか」
三人が興味を示したのだから、アルカイズだけ魔物に関心がないのはおかしい。零の悲鳴は二階にいたキスにも届いていた。
全員が向かう中、一人だけ残るだろうか。いや、一人だけ残ってたからこそ、自由に動けたのか。
その時間にアルカイズが侵入者に捕まった可能性も出てくる。
零はゴールド=ゴールへ魔物に関する事を伝えなかったのか。死体とはいえ、敷地内に魔物が出現したのだ。
結界を張る魔力も無くなり、身を隠している状態。それはメアリ達以上に危険のはず。
毒を借りる許可を得る事は伝えるのなら、報告は可能であるはずなのだが。
彼女はメアリ達にゴールド=ゴールドへ魔物について話しているとは何も言っていない。
言えない理由があるのか。魔物を出現されたのは零ではなく、死神なのだ。
「彼女に怪しい面があるのは確かだ」
館の主の従者であるが、命約はしていない。事件において、彼女が生き延びている可能性はある。
彼女は単独行動が多い。従者の部屋で鍵を閉めて休んでいた事も怪しい部分ではある。
だが、アルカイズを捕まえる点においては難しい。気配遮断された状態の彼を見つけるのもそうだが、従者が魔法使いを簡単に捕まえられるのか。
彼だけに情報を教えると嘘を吐くのも、それを簡単に信じさせるのは難しい。
メアリが零を感視した事で虚偽を言ってないと確認もしている。
カイト達従者が眠らされた。死神が見た限り、零に怪しい行動はなかった。いや、いきなりの事でちゃんと見れたのか怪しい面はあったかもしれない。
匂いに関しても、あの時点ではそこまで気にしていなかった。
「……三日目の朝に何が起きるか。侵入者の存在に加えて、魔物の登場。メアリ達は必要以上に警戒はするはずだ。従者達のように簡単には眠らされなる事はないだろうが……」
従者達を眠らせた以上、何かが起きる可能性は高い。
ただし、彼女達の魔法の使用回数が復活しているのであれば、対応はしてくるはず。
それに客室とはいえ、魔法使い達は荷物を持ち込み、自分の陣地としているはず。アルカイズの部屋が侵入されたのだから、余計に対策を取るだろう。
「本来、彼女は三日目の朝には退場している。それ以降の記憶がない。内容に変化は生まれたのか」
彼女というのは勿論一番最初の犠牲者となるディアナの事である。
以前よりも彼女の警戒度は高いはず。それに武器を所持している事で何かが変わるのか。
一太刀浴びせるだけで、犯人が分かれば儲け物なのだが。
「本が開く。三日目の始まりだな。彼が目覚めた時、従者の部屋に異変が起きたのか」




