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幕間 ー2ー


「世界は壊れていない。カイトはまだ死んでいないか」


 擬似的世界の本は消滅せず、自然に閉じられた。


 死神が生み出した擬似的世界は、カイトが死亡したと同時に消える事になっている。


 それがなされていないというのは、彼の意識が途絶えただけ。つまり、睡眠状態になっているという事だ。


「無事かどうかは別として、三日目の朝を迎える事が出来そうだな。ふぅ……彼が目を覚ます前に色々と整理してみようか」


 死神はメアリ達魔法使いの記憶を再度取り上げる。


 ディアナの従者である十は二日目で姿を消したが、十の記憶の本はない。


 やはり、彼本来の名前で無ければならないようだ。


「本来、二日目では誰も死亡していないようだが、十の死には触れてなかっただけか。カイトがいなければ、メアリも彼の死を見なかったわけだ」


 カイトが介入する事で変化するのは当然。


 命約がある以上、魔法使いで一番先に消えるのがディアナであるのだから、それよりも先に十が死ぬのは分かっていた事だ。


「アルカイズも二日目に姿を消してないのか。侵入者の存在を疑ってる様子もあったのか」


 アルカイズの記憶では二日目に誰かに捕まってはいない。彼はメアリ達と共に夕食にも参加していた。


 そこで侵入者に関する会話がなされたようだが、それを疑うようになった出来事が十の死なのだろう。


 彼が十の死を確認していた場合、メアリと立ち位置が変化した事になる。その結果、アルカイズは姿を消してしまった。


「……アレは失敗したか。干渉するつもりはなかったのに、反応を見たかったのは確かだ。ある意味、手助けをした形になったかもしれないが、余計な意識を分散させる事になってしまった」


 死神の隣にはメアリ達の目の前で消えた巨大な狼、魔物の死体があった。


 本来、あの事件に魔物は関係していない。彼女が送り込んでいたからだ。それもカイト達の世界とは別世界の存在。だからこそ、メアリ達が持つ魔力と違っており、無効化というよりも無反応だったわけだ。


 カイトは違和感を感じていたのは死神も分かっていたが、そういった理由があった。


 彼に伝えなかったのも、皆の前での挙動がおかしくならないよう考慮したものだ。


「魔法使い達があそこまで反応するとは……死体にしたのは正解だった」


 生きた魔物を送る事で、メアリ達が殺されては意味がない。


 魔物の存在はメアリ達だけでなく、犯人も警戒を余儀なくされたはず。


 更に言えば、カイト達が武器を所持出来るように一役買う事も出来た。悪い事ばかりではないのだ。

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