途切れ
「だ、大丈夫なんですか!? アルカイズ様の捜索をしている時には何も起きなかったはずです」
アルカイズ捜索時、罠に掛かる事もなければ、侵入者と遭遇する事もなかった。何か起きた場合、メアリ達の誰かは気付くはず。
「私と二人で行動した時もおかしな事は起きませんでしたから。彼女は調合室で何かした……にしても、時間が経ち過ぎですよ」
メアリ達魔法使いが魔物についての情報を交換している時、零と三は食堂の外に出ていた。
二人は何事もなく戻ってきたのは確かであり、何か起こるとすれば、三だけなのはおかしな話になる。
「うん……大丈夫。寝息が聞こえます。眠ってるだけのようです。顔色も悪くなったりしてません。ですが……」
「急にでしたよね。僕達が見てない間に何かあった? 七は何か気付きました……か」
零がカイトに話し掛けている間に何かが起きたのか。だが、従者の部屋の鍵は閉まっていて、他の誰かが入ってきたはずはない。
七もカイトの方を睨んだのも、ほんの僅かな時間に過ぎない。三の方にも視線を向けていてもおかしくはないのだが……
七の睨んでいた目が閉じ、首がコクコクと不規則に動いてる。カイトが近寄っても、全く気付く気配はない。
「……眠ってる?」
三に続き、いつの間にか七も眠りについていた。二人が同時とまではいかなくても、急に寝るのは明らかにおかしい。
起きているのはカイトと零。カイトでなければ、零が何か仕掛けたのか。
この部屋は閉じられた状態。中は何も変化はない。廊下から魔法でも使われたのか。だが、メアリ達は今日分の魔法を使い切ったはずだ。
いや……時間はすでに零時を過ぎていて、使用回数は元に戻っていてもおかしくはない。となれば、侵入者の魔法回数も同じである。
従者では魔力の動きで魔法が使われたのか判別がつかない。
「二人が急に寝るのはおかしいです。一旦、僕達は部屋の外に出た方が」
『……彼女もみたいだな。僅かだが、薬品のような匂いがするぞ。睡眠ガスか何かか。だが……それをする理由は何がある』
零も三と重なるように倒れていた。彼女も寝てしまったのだろう。
死神は部屋に何かの匂いを嗅ぎ取った。考えられるのは睡眠ガスだろうか。魔法に匂いがあるのかも分からない。
これが侵入者の仕業だとして、カイト達を眠らせる理由は何か。
睡眠薬ではなく、毒薬にすれば、従者達を一網打尽に出来る状態のはず。
『彼女達を置いていくのは忍びないが、今は部屋を……流石に無理か』
カイトも零達同様、抗う事が出来ずに眠りへつこうとしている。
死神の嗅覚もカイトの鼻を通じてなのだから、匂いを嗅いでないわけがなかった。
カイトは三や七、零よりも毒とまではいわないが、体に取り入れる物に対しての耐性があっただけなのだろう。
死神が見るカイト視点の映像が途切れてしまった。




