捜索後
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『……そこまで広い館でもないのに、見つからないものだな。地下、もしくは外に連れて行かれてる可能性はあるのか』
「それはどうなのでしょうか。地図からして、誰かは地下に連れて行かれたという話でしたよね。アルカイズ様は誰にも発見されずに死んだ……というのは違うのではないですか?」
メアリ達魔法使いの魔物に対する情報交換が終わっただけでなく、時間はアルカイズ捜索を終えた後まで進んでいる。
魔物対策のため、薬室の毒を借りる事については昼頃という事になった。
武器は従者が使用するものであり、薬や毒は主であるゴールド=ゴールが作成した物になる。
これに関しては主の許可が必要だと、零は答えた。返答があるのは翌朝過ぎになるらしい。
事前に薬室に入る事はせず、その許可を得てから、三が鍵を開ける事になっている。
この二人は何事もなく、食堂に戻って来れたのは幸いだった。
侵入者や魔物が中に入った形跡はなし。零は館の出入口に鍵をし、それが破られた事はなかったようだ。
そこからメアリ達が食事して、宣言通りにアルカイズの捜索へ。
彼の捜索範囲は館内のみ。外に出る事は禁止。館の鍵もしている状態だ。
捜索したのは廊下一体は当然として、鍵が開いた部屋全て。ディアナの持っていた鍵で開けた衣装室。武器が置いている倉庫も再度確認している。
十が殺された客室だけでなく、他の客室も。端の客室は鍵がされていた。記憶の地図からも開けられていないのだから当然だろう。
それ以外に従者の部屋もそうだが、メアリやキス、ディアナの部屋も見る事に。
三人の部屋は中に入らず、ドアを開けた状態での視認のみ。
これはディアナの提案であり、キスは反対したが、メアリは了承。多数決による形になった。
そこまで注意深く見回ったのにも関わらず、アルカイズの姿はなかった。
ここで捜索は終了。時間は二十三時を過ぎていた。翌朝の朝食時の集合を今日よりも遅い九時に決め、それぞれが部屋に戻った。
翌朝の時間を遅くしたのは、体調面よりも、魔物の調査を続ける事もあるのだろう。
カイト達は従者の部屋で休む事に。侵入者だけでなく、魔物の警戒も必要になった以上は休ませる事も重要になってくる。
なんせ、魔物に魔法が効かないのだから。
こうして、カイトは自身のベッドに腰を掛け、死神と会話している状況に至っているわけだ。
『そうだな。順番が別になっているとしても、アルカイズの死体は確認されていると踏んでいいだろう』
順番というのはディアナとアルカイズが死の順番だ。
本来、先に死ぬのはディアナであり、次にアルカイズと記憶されている。
これが行方不明、姿を消しただけであれば、アルカイズが先になっている方が自然だ。
彼は気配遮断によって、姿を消せる。今と同じ状況になっていてもおかしくはない。
それなのにディアナが先になっているのは、彼女の死体が見つかったからだろう。




