報告
「アイツもちゃんと離れた事だし、調べ物の進捗を報告していきましょうか」
キスは三が食堂から離れて、入口前に立っていないかを七に確認させてから、魔物についての報告会を始めた。
カイトはメアリに三人の飲み物を運ぶように指示され、その後に七と食事を再開。
聞き耳を立ててるせいか、七の食事の進みは遅い。カイトもそうなのだが、死が零と三の事が気になっているのも事実。
「これは全員が調べられたんじゃないの? アレには魔力が宿ってた事は」
メアリがカイトへ口にしていた事をキスは先に述べた。魔法使いであるなら、それは分かって当然だという口振りだ。
「似て非なるもの物ですよ。私達が持つ魔力とは違ってます。だからこそ、探知出来なかった」
ディアナはキスの言葉に付け足した。普通の魔力ではない。ディアナ達が持つ魔力とは別物であると。
「そうですね。魔導具による反応が何もありませんでしたから。魔力でなかった場合、耐性を持っていたかになります」
メアリも返事を。彼女は体毛に魔導具並び、魔法を使用しており、その反応を注視していた。
「私の魔法でもそうだったからね。火や水の魔法で何をしても燃えもしないに、濡れる事もない。耐性以上、無効にしてたんだから」
キスは攻撃魔法を得意としている。火や水の攻撃はお手の物なのだろうが、その魔法を体毛は無効化したようだ。
だからこそ、魔力が宿っている。それによって無効化しているとメアリとキスは判断したのだろう。
「ですが、これは魔力がない火や水には抵抗がないのですよ。ナイフでも普通に切れたのもそうです」
火は魔導具や魔法が無くても、マッチ等を使えば起こせる。水も荷物で持ち込んでいたとしてもおかしくはない。ディアナは魔力とは関係ない事まで調べたようだ。
「確かにそうです。という事は魔力と関連するものは効果がないと。魔法使いにとっては天敵になりますね」
「アレ以外にいるのだったら最悪だわ。魔物相手に武器だけで相手にするなんて、自殺行為だわ」
魔物には魔法が効かない。アレ以外の魔物が森に生き残っているのであれば、魔法使いにとっては死地になりかねない。
「侵入者だけを殺してくれたら、助かるんだけど……館の主が隠れているのが森って事はないわよね」
侵入者もまた魔法使いであり、襲われた場合の対抗手段は少なく。まともに相手に出来ないはず。
それは館の主であるゴールド=ゴールも同じだ。森に隠れていて、すでに殺されているという可能性はないとも限らないのではないか。
「それはないでしょう。そうだとすれば、彼女も気が気でないはずです。彼女に何も変わった様子はないように見えましたよ」
主が森で隠れているのであれば、零は普通に仕事が出来ないはず。更にいえば、メアリ達を助けに向かわせてもおかしくはなかった。
それが外出するのを禁止したのは、ゴールド=ゴールが館にいるからではないだろうか。
メアリの感視があれば、彼女の感情を少しでも読み取れたのかもしれないが。




