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薬室

「それは……アルカイズ様が彼女に罰を与える事になるのではないでしょうか? 流石にそれは決められないと思います」


 メアリは三の身を案じた。アルカイズ捜索はメアリ達が勝手にした事で、アルカイズ自身が望んでいない可能性がある。


 それなのに三が情報を流していたら、彼が激怒するのは当然。従者にそれを決める権利はないのだ。


「私が間に入りますよ。彼は夕食時に集まるという約束を破ったわけですからね。理由は幾らでも用意出来ます。最悪、私が彼女を引き取っても構いません。その時はこの場で命約をしてもらうつもりですが」


「それはアリなんじゃない? アルカイズが文句を言うのなら、ディアナがコイツを引き取るの。アルカイズはその分、危険が増すだけだし」


 ディアナにとってはそちらの方が都合が良いだろう。アルカイズも自分の身を案じるなら、三に文句を言えなくなる。


 だが、それは継承問題が終わるまでの話。とはいえ、三がどうなるかは意味はない。現実を考えれば、先のない話なのだから。


「……分かりました。その時は私も言います。貴女がそれで納得するなら、教えてください」


 メアリは三に優しく言葉にする。だが、従者が魔法使いの意向に拒否する事は難しい。


 彼女が許しても、ディアナとキスがそれを許すかどうか。


 アルカイズが側にいない以上、三はその条件を飲むしかないのだ。


「……分かりました。アルカイズ様の鍵で開く部屋は二階で見つけています。そこは色々な草や虫が瓶の中に詰められているのが多数ありました。あそこは調合室、薬を作る場所ではないでしょうか」


 三が言っている部屋は、カイトが見える館の地図にある薬室を示しているのだろう。


 草や花、虫等から様々な用途のある物を作る場所なのだろう。そのメインとなるのが薬というわけだ。


「魔法使いなら、あって当然の部屋ね。魔導具を作る部屋も何処かにあるんでしょ」


 キスはそう言ってるが、地図の中に魔導具を作る工房の部屋は見当たらない。


 メアリ達が調べきれてない部屋の一つがそれなのだろうか。


「貴女がその部屋を見た時、謎解きのような物はありましたか?」


 ディアナは薬室に謎解きがあったのかを確認する。


「分かりません。部屋を軽く見回しただけですから。私の知識からして、全てが怪しく見えましたので」


 従者に草や虫等の調合素材の知識はないだろう。全てが怪しく見えてもおかしくはない。


「アルカイズ様が見つかるまでは鍵を閉めておくつもりでしたが、確認のために開けてもいいです。ですが……」


「謎解きがあった場合、アンタの主が優先させるって事でしょ。いいわよ。今日、明日ぐらいまでは待ってあげる。けど、それ以降で解いてない時は」


 謎解きの優先順位は部屋を鍵を持つ者。それはメアリやキス、ディアナも承知している。


 ただし、その人物が時間が経過しても姿を現さなかった場合は話は変わってくる。


 この継承権の得るための猶予は一週間しかなく、時間は無駄には出来ない。何処か線引きが必要となってくる。


 それは三も理解しており、キスの発言に無言で頷く。

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