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夕食

 メアリとカイトは話を一旦区切り、食堂へと向かう。ここで話を続ければ、前と同じになってしまうからだ。


「今回は一番乗り……というわけではないみたいですね。……アルカイズ様はまだ見つからないのですか?」


 食堂の中に入ると、ディアナやキスだけでなく、アルカイズの姿もない。


 ただし、アルカイズが前回座った場所には、彼の従者である三の姿が。


 彼女の手には槍がある。選んだ武器は剣や斧、ナイフでないのは首切りを警戒してなのか。


 そこに守るべき相手、気配を消したアルカイズが座ってるわけではない。この場で消す必要もないはず。


「……はい。部屋に置いた手紙は無くなっていたのは確認したのですが……アルカイズ様がこの場に来るのを待つしかない状態です」


「体に怪我とかしてませんか? いえ……命約による肩代わりがなされた事は」


「大丈夫です。何処も怪我はしていません」


「命約は結んではいるのですよね?」


「当然です。だからこそ、恐怖心があります」


 三の体は僅かに震えている。今でこそ無事だが、命約による身代わりがある。しかも、彼女の人形は首を切られていた。知らない内に死ぬ事になるのは恐怖でしかないだろう。それは感情の薄い従者でもそうだ。


「アルカイズ様はライバルといえど、探しに行くべきかもしれませんね。そこは御二人に話してみます。流石に気配遮断の魔法といえど、そこまで効果が長く続くとは思えません」


 アルカイズの姿は昼前から見なくなっている。気配遮断の魔法を使用したとしても、流石に長時間過ぎる。それを再度使ったとしてもだ。


 館内に隠れる場所を見つけたとしても、夕食に顔を見せない道理はない。


 となれば、アルカイズが侵入者に捕らえられた可能性が出てくる。三が襲われるのを待っていたのを、逆にアルカイズが捕らえられてしまった形になってるかもしれない。


「今回は早く来てるじゃないの。今は魔物の情報が大事だからね。……って、アルカイズはいないわけ!? 情報をタダでやりたくはないとは思ってたけど……」


 キスと七が食堂に姿を現した。少し機嫌が良く見えたのは、魔物に関する情報を手に入れたのか。だが、三がいるのにも関わらず、アルカイズの場所が空席であった事に驚きを隠せずにいる。


「そのようです。まだ見つかっていないらしく、この場に来るかどうか。来なかった場合、一度探しに行くべきかと思うのですが」


「……確かにそうね。人形の事もあるし。本当に迷惑でしかないわ。見つけた時は文句の一つでも言ってやるんだから」


 キスは渋々ながら、アルカイズを探すのに協力してくれるようだ。


「揃いましたでしょうか? ディアナ様とアルカイズ様がまだのようですね。御二人方はいつも早いのですが」


 間もなく二十時になろうとしている。だが、アルカイズばかりか、ディアナも食堂に現れない。


 彼女の人形は見つかってないが、順番を考えると、先に消えるのはディアナとなっている。

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