表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/491

注意

「いえ……僕は一緒に行かなくて大丈夫です。倉庫に用事がある時は再度連絡します。それと……調理場に軽食や飲み物はまだあったりしますか? 果物でも構わないのですが」


 カイトは倉庫のヒント探しよりも、メアリの安全を選んだ。


『君ならそちらを選ぶとは思っていた。三が言っていたように、音楽室の謎を解くのはキスと七だ。彼女達が正解すれば、ヒントを知る必要はない』


 倉庫にあるのが音楽室の謎解きに関するヒントであれば、カイトが無理に知る必要はない。


 キス達が謎解きを再開するにしても、明日だろう。メアリのように素材を調べるため、魔法を使うのであれば、探索の危険度が増すからだ。


 それまでの間に七達とは別で、倉庫へ調べるに行くのも可能だろう。


『だが……目の前の事ばかりに意識を向けていては、事件の真相は見えない事は忘れないように』


 カイトはこの擬似的世界でメアリを守るつもりでいる。だが、本来の目的は違う。


 事件の真相。メアリに何かあったのかを知るため。この擬似的世界で彼女を救っても、生き返るわけでもない。


 彼女ばかりに目が行き、救う事が出来たとしても、真相まで届かない可能性がある。


 何かが進行していくのは、大体が別の場所。でなければ、魔法使い達が行方不明になる事はなかったはず。


「確かに……そうですね。僕には聞こえなかったのですが、この三人の会話に何かあったのですか?」


 死神は遠くで会話をしている三人の声が僅かに聞こえた。それは距離が縮まる事で、内容は分かるはず。その会話に怪しい面があって、カイトに注意勧告したのか。


『三人の会話は彼女達の言う通りの内容でほぼ間違いない。魔物の登場に動揺はしていたが』


 死神がカイトに嘘を吐く理由もなく、それは本当の事だろう。零達が魔物に怯えるのも当然であり、死体を見つけた時も軽く冷静さを失ったようにも見えた。三が見ても、同じようになっていただろう。


 カイトが話し掛けた時には態度は普通に戻っていたのは流石というべきか。


「昼食は食べたのですよね。明日からそちらの方も考えておきます。果物は調理場にあるので、好きにお持ちください。飲み物も必要でしたら、好きなカップを使っても大丈夫なので。ある程度の場所は覚えてますか?」


 カイトは昨日の夕食の準備の手伝いで、調理場に訪れている。今朝も朝食用の紅茶を取りに行ってるので、少しは把握している。


「大丈夫です。余計な物には触れないようにしますので」


「分かりました。御二人を案内して、用事が終わったら、夕食の準備を始めます。昨日と同じ二十時にしますので、主達にお知らせください。何かあれば、調理場……一階にはいますので」


 そう言い残して、零は二人を連れて倉庫へ。そこまで離れているわけでもないが、扉を閉めれば、死神でも三人の声は聞き取れないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ