調査
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「壱は……ディアナ様が怒っていると思いますか? 最初はディアナ様に同意しながらも、キス様の意見に賛同した事に」
メアリとカイトは自室に戻っていた。
魔物の死体が消失した後、再度メアリが持つ鍵の部屋の探索の続きとはならなかった。
その理由は幾つかある。
一つは魔物の体毛を調べるため。魔法使い達は自身の道具を部屋に持ち込んでいるため、簡易な調査は可能。もしくは持ち帰るために厳重に保存するためか。
それを最初に言い出したのはキス。
鮮度が重要なのもあるが、調べるのに魔法を使用する事も考え、昼の探索を止めたのだ。
彼女が持つ鍵はどうなったのか。一階でその場所は見つからず、メアリ達と探索する階を入れ替わった。
その結果、鍵と合う場所を見つけたようだ。
キスが見つけたのはピアノが置かれた部屋。彼女達の記憶で作成された地図の中の音楽室にあたる場所だろう。
そこに謎らしき物はあったらしい。魔導具の金庫。その金庫には鍵もなく、数字を合わせていくダイアル、ボタンもなかったようだ。
彼女は部屋全体を調べたようだが、衣装室にあったようなヒントはなかったらしい。
可能性があるとすれば、ピアノを使った何か。もしくは別の部屋にヒントが隠されているか。
衣装室の謎も従者の部屋にあった数字と色が必要だったからだ。
キスはそれを探すために部屋から出たところで、あの騒ぎが起きたらしい。
魔物の体毛を調べるのは彼女にとっての気分転換でもあるのだろう。
音楽室の鍵は閉まった状態。彼女が謎解きを解いた、もしくは諦めた時に開放すると本人が言っている。
キスに関しての行動はこうであり、次はディアナだ。
理由の一つとして述べたように、ディアナも魔物の体毛を調べるつもりは勿論あったようだ。
メアリが心配しているのは武器の件。
キスが従者に好きな武器を持たせるようにという意見をメアリが同意したのだ。魔物対策もある事で、ディアナは反論出来なかった。
従者がいないディアナだけが危険度が増してしまった事になる。
とはいえ、カイトが選んだのはナイフのみ。ディアナの事を考えたわけではなく、剣や斧、弓等の扱いに慣れていないからだ。
キスの従者である七は剣。キスはメアリ達と同じナイフを。
「あれは仕方ない事です。ディアナ様もそこは分かっていますよ。協力関係は明日までにしたのが証拠です。色々と考える事があるのでしょう」
全員で倉庫に行き、武器を選んだ後、キスだけでなく、ディアナも魔物の体毛を調べるため、行動を共にするのを止めた。
キスが言い出した事ではあるが、ディアナも賛成し、調べた結果を夕食時に伝えるという話になったのだ。これも魔物対策の一環だと。
ディアナはそう言った直後、協力関係、鍵を調べるのは明日にしようと提案してきた。
メアリは二人が決めた事に反対せず、ディアナの言葉に了解を出して、今に至る。




