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解体

「キス様。貴女も来たのですね。これを見てください。この森には魔物がいたらしく、その死体が」


「本当に!? 私にも見せなさいよ」


 メアリの言葉にキスは颯爽と駆け寄る。三人の行動により、魔法使いにとって、魔物はやはり特別なのだろう。


 ただ、従者の七は魔物の姿に動揺したのか、少し固まった状態に。零も驚いていたのだから無理はない。魔法使い達が例外なのだろう。


「死因も分からず、今から死体を解体してみようと思ってたところです」


 メアリとディアナが死体に触れていた事で、キスは躊躇いもせずに魔物を調べ始める。


「そうよね。この死体の周囲に血がないもの。あったら採血したいぐらいだし」


「ですね。侵入者が倒したとも思えないのですが……確認は必要ですから」


「魔法回数が流石に足りるはずないからね。アルカイズの人形があった部屋も見てきたから」


 キスは明日には片付ける十の殺害現場を先に見てきたようだ。


 アルカイズの人形を置いてきたわけだが、キスが確認出来たという事は、誰も移動はさせてないという事になる。


「けど、解体するのはそれだけが理由じゃないでしょ。一部を持ち帰って、実験材料にするのが目的なんじゃないの? 私も欲しいし」


 魔物の解体理由は死因を調べるわけではなく、何かの実験の材料として持ち帰るため。魔導具の開発や薬にも使えるかを知るためだろう。


「先に部位を切断しない? ナイフよりも剣の方がいいでしょ。それでも無理なら、斧が倉庫にあったから」


 キスは魔物の大きさからして、ナイフよりも剣で解体した方が良いと判断したようだ。削ぐにはナイフだが、綺麗に切断するのであれば、一気に振り下ろした方が良い。


 ディアナとメアリもそれを許可したようだ。なるべく綺麗な部位を残して、持ち帰りたいのは二人も同じらしい。


「それじゃ……まずは首から切断して」


 キスは剣を持つ七に魔物の首を切断するように指示する。


 魔物の体は傷一つなく、死体となっている。その体に首を切断。三の人形と似ていないだろうか。


「メアリ様……今の状況はあの人形の状態になりませんか?」


 カイトはこの魔物の死体が三ではないかと、メアリに声を掛けた。変身魔法があるのであれば、三を魔物に変化された可能性もあるのではないか。


 首を切るのは侵入者、もとい犯人ではなく、知らぬ内にメアリ達が手を下した事にもなりかねない。


「もしかして、この魔物があの従者だと思ってるわけ?」


 カイトの疑問に対して、キスが割り込むように返事する。


「それはないわね。この死体に魔力は残ってないもの。無ければ、変身が解けているはずだし」


 魔力が無くなれば、魔法の効果は消える。それは死体でも同じ。この魔物が三であるはずがない。


「変身魔法は一度見た物でなければ、簡単に解けます。死体を変化させるのも可能ではありますが、魔力は残っていなければなりません」


 ディアナは更に詳しく変身魔法を説明する。彼女の得意魔法なのだから当然だ。


 ただし、それについて追求する者は誰もいない。

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