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悲鳴

「それでも危険に越した事はないです。壊すにしても……所有者はゴールド=ゴールですから」


 危険であるなら壊しておくのが一番良いと考えるのはメアリだけではないだろう。


 自身の館なら問題ないだろうが、所有者は別にいる。簡単に壊せる物でもない。


「そうですね。ですが……これだけの量があるのであれば、ナイフぐらいは借りても良いはずです。従者は彼女しかいないわけですからね。魔法が使えなくなった時の護衛のために」


 ディアナは武器としては一番扱いやすく、魔法使いでも使えるであろう、ナイフを手に取った。


 ナイフは他の武器に対して数が多く、従者が零しかいない以上、使用してもいいと判断したようだ。


 従者がいないディアナにとって、自身を守る手段が多くあった方が良いに決まっている。


「メアリ、貴女も持っておくべきです。後からキス達にも伝えましょう。勿論、従者達にも持たせるべきです。といっても、同じ物にしてもらいますが」


 侵入者に対して、斧や剣を従者に持たせて警戒されるのはいいが、謎解きや罠にも注意を向けなければならない。小型とはいえ、身動きが取りにくいのであれば、そちらの方が危険になる可能性もある。


 それに同じ武器を選ばないと、不公平だと意見が割れるのも面倒になる。


「分かりました。使わない事を祈るばかりですが……壱も持っていてください」


 メアリはカイトではなく、壱の呼び名に戻している。そして、一本のナイフを手に取り、カイトへ渡した。


「メアリ様には使わせません」


「服に隠すのもありだと思いますが、謎解きをする時や両手を使う以外の時は、常に手にしてたおいてください。僅かな時間の差が致命的になる事もあるはずです。それはメアリも同じですからね」


 カイトが燕尾服のポケットに入れようとするのを、ディアナは止めた。


 侵入者に見えなくするのはいいが、取り出す時間が致命的になりかねない場合もあるからだ。


 当然、ディアナもナイフを隠さず、手に持っている状態になっている。


『三人がナイフを持っていれば、相手も流石に警戒するだろう。キスが見ても驚くはずだ』


 キスは先程まで一緒にいたのに、少しの間でナイフを持ち歩いていれば、何かあったと驚きはするだろう。


 それは侵入者も同じはず。魔法使いなのに武器を持ち歩いているのだから。魔導具と勘違いして、警戒するのかもしれない。


「……そろそろ出ますか? 謎解きに関する事は何も無さそうでしたし」


 武器以外にもメアリ達は色々と触れてみるが、何も起きる様子はない。食堂の絵画のように移動されて装置が発動するにしても、ヒントらしき物は何も発見出来なかった。


「床も確認してみましたが、何かが隠されてる事もありませんでした」


 カイトはメアリだけではなく、死神へ同時に伝える。地下への階段があるとすれば、床も調べておかないといけない。


「木を隠すなら、森の中だと言いますからね。床を這いつくばって調べて、何も見つからないのなら、そうなのでしょう」


 ディアナも倉庫の探索をここで止める事にして、倉庫の扉を開けた。


「きゃあああ!!」


 そのタイミングで女性の甲高い悲鳴が聞こえてきた。その声は……三ではなく零。


 館内に響き渡ったわけではなく、外から漏れ聞こえる形だ。館の出入口が僅かながらに開いていた。

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