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社畜剣聖、配信者になる 〜ブラックギルド会社員、うっかり会社用回線でS級モンスターを相手に無双するところを全国配信してしまう〜  作者: 熊乃げん骨
第六章 田中、コラボするってよ

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第14話 星乃、激昂する

「はああああっ!」


 雄叫びを上げながら駆ける星乃。

 己を鼓舞するため声を上げていたが、頭の中は冷静だった。


(パワーもスピードもあっちが上。相手の動きを読んで先読みするんだ!)


 星乃はバモクラフトの目をしっかりと見る。

 そして視線の動きを見て、次の動きを予測し斧による攻撃を回避した。


 その戦闘方法は、道中田中から教わったものだった。

 星乃はまるで乾いたスポンジのように田中から教わったことを吸収し、自分の力としていた。その成長スピードは田中が見ていて楽しいと感じるほどであった。


「――――そこっ!」


 星乃は叫びながら、すれ違いざまにバモクラフトの腹を斬った。

 まだ田中のように物体の弱い箇所を見ることはできない。しかし腹筋の割れ目を狙って斬ることで、硬いバモクラフトの筋肉の隙間を上手く斬ったのだ。


 まさか自分が傷を付けられるとは思っていなかったバモクラフトは、腹から流れる血を見て驚いたように『ブオ……』と声を出す。


「やっぱり硬い。もっと思い切り斬らなくちゃ……」


 一方星乃は険しい表情を浮かべていた。

 今の切り合いは制したが、薄皮一枚斬っただけでロクにダメージを与えられていないことに彼女は気づいていた。

 バモクラフトにダメージを与えるにはもっと力を込めなければいけない。剣を握る手に力が込もる。


『ブオォ!』


 するとバモクラフトは星乃を近づけまいと斧を素早くコンパクトに振るう。

 先程までより力はこもってないが、速く隙のない攻撃。射程距離リーチの差もあり星乃は近づくことができなかった。


「はあ、はあ……」


 回避しながら、星乃は肩で息をする。

 まだ戦闘を開始してから数分しか経っていないが、彼女はかなり体力を消耗していた。


 普段であれば何時間特訓してもピンピンしているほど体力のある彼女だが、今は一発でも攻撃を食らえば即死んでしまうような極限状態。精神がすり減り体力もいつも以上に消耗してしまっていた。


(田中さんはこんな状態でも一人で戦い続けていたんだ。やっぱり凄い……)


 そんなことを考えていると、バモクラフトは更に速度を上げ、頭上から斧を振り下ろしてくる。

 一瞬判断が遅れた星乃は、その一撃を上にかかげた剣で受け止める。


「ぐ、ぐぐ……」


 必死に受け止める星乃だが、筋力も体重も敵のほうが上。

 上から襲いかかってくる重みによって徐々に膝が曲がり、腕が痙攣し始める。


『ブ、ブブブッ』


 苦しそうにする星乃を見ながら、バモクラフトはわらう。

 その嘲笑は星乃だけでなく、彼女の父にも向けたものだった。見ろ、貴様だけでなく、貴様に連なるものも俺は殺し、蹂躙する。

 バモクラフトはそう心のなかで歓喜していた。


 そしてその感情は……星乃にも伝わっていた。


「……らうな」

『ブ?』


 力を込めているはずの斧が、わずかに押し戻される。

 バモクラフトは不思議に思い首を傾げる。すると、


「お父さんを、笑うな!」


 咆哮と共に星乃は思い切り斧を弾き飛ばし、バモクラフトを数歩後退させる。

 想定外の力に驚くバモクラフト。

 見れば星乃は全身から激しく魔素を噴出し、普段以上の力を引き出していた。


「はああああっ!!」


 星乃は湧き上がる力を足に込め、思い切りバモクラフトを蹴り飛ばす。

 バモクラフトは腕でその攻撃を防御するが、その力は凄まじくバモクラフトの体が更に後退する。


『ブオ……!』

「お前だけは許さない……絶対にっ!」



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― 新着の感想 ―
え? 田中が駆けつけて倒すかと思えば星乃が倒すの?
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