表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/221

第4話 田中、配信事故に気づく

『ブウウウウウ……』


 タイラントドラゴンは口いっぱいに炎を溜める。

 こいつの吐息ブレスの火力は凄まじい。くらえば俺は炭すら残らず燃え尽きてしまうだろう。

 そうならないためにも、俺は剣を一旦鞘に納めてタイラントドラゴンを迎え撃つ姿勢に入る。


"何してんだこいつ!?"

"逃げてー!"

"死ぬわアイツ"

"ほう、居合ですか。たいしたものですね"

"相手はあのタイラントドラゴンだぞ!?"


 次の瞬間、タイラントドラゴンは溜め込んだ炎を放つ。

 視界いっぱいに広がる巨大な炎。俺はそれめがけて思い切り剣を振るう。


 すると剣から衝撃波が放たれて、タイラントドラゴンの炎を一刀両断してしまう。そしてそのまま衝撃波はタイラントドラゴンの堅牢な鱗を切り裂き、絶命させてしまう。


"は、はああああ!?"

"今時の剣って衝撃波出るの!?"

"んなわけねえだろ!"

"それよりタイラントドラゴンが一撃でやられる方がヤバいだろ!"

"作り物の動画だって言ってくれ……"

"このサラリーマン誰か調べろ!"

"企業戦士はやっぱり強いな(呆然)"

"かっけeeeee!"


『グ、ウウ……』


 タイラントドラゴンが倒れると、他のモンスターたちは攻撃をやめ、俺から距離を取り始める。

 どうやらタイラントドラゴンはこいつらのボス的な存在だったみたいだな。ボスがやられたことで戦う気がなくなったんだ。

 どうせ倒しても素材は会社に取られる。ノルマはもう達成したしこれ以上戦う理由は俺にもない。


「行け。見逃してやる」


 剣を鞘に納めそう言うと、モンスターたちは我先にと逃げ出していく。

 ふう……思ったより早く終わったな。さっさとノルマの分のモンスターの素材を取って帰ろう。


「……と、その前に時間だけ確認しとくか」


 俺はスマホを開き、現在時刻を確認しようとする。

 だけどその瞬間、俺はありえないものを見てしまう。


「……は? 通知9999件?」


 なんとスマホの通知が埋まっていた。

 確かに電話はしょっちゅうかかってきてたけど、9999件は明らかに異常だ。


 俺は急いでスマホを操作して通知の内容を確認する。

 するとそこには「Dチューブで『〇〇〇〇』というコメントを頂きました!」という通知で埋まっていた。訳が分からず俺は混乱する。


「なんでDチューブの通知が……って、なんで俺の動画にこんなコメントがついてるんだ!?」


 Dチューブの画面を開くとそこには俺を撮っている映像の横に爆速でコメントが流れていた。

 い、意味が分からない。どうなってるんだ!?


「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺はたしかに配信設定を会社のみに……なって、ない」


 まさかの設定ミスに気づき、俺はサッと血の気が引く。

 う、嘘だろ!? じゃあ俺の今までの行動は全部全国に配信されてたってことかよ!


「で、でも俺のダンジョン配信なんてそんな大人数は見てないよな?」


 そう祈りながら、俺は動画の視聴者数を確認する。

 するとそこに出ていたのは驚きの数字だった。


「ど、同接1億人……!?」


 その規格外の数字に俺は気を失いそうになる。

 使っているのが会社のアカウントだから登録者が2千人くらいはいるので、その人数分くるなら分かる。

 だけど実際はそれどころじゃなかった。

 だって有名配信者でも同接100万もいかないのがほとんどのはずだ。それなのに1億て……。


"お、やっと気がついた!"

"見てるー?"

"かっこよかったぞ!"

"これより業務しごとを始める……だっておww"

"本当にかっこよかったです! お名前を教えてくれませんか?"

"SNSトレンドに『社畜剣聖』って載ってますよ!"

"うちのギルド入ってくれませんか!"

"どうやってそんなに強くなったんですか!?


 爆速で流れていくコメントを、俺は呆然と見つめる。

 こ、これはもう誤魔化しようがない。今俺がなんと言ったところで事態が収まることは絶対にないだろう。


 遠くなる意識の中、俺はもっとも面倒くさいことを思い出し、呟く。


「はあ……これ、始末書を書かされるのかな……」


【読者の皆さまへ】


この小説を読んで


「面白い!」


「続きが気になる!」


と思われたら、↓の☆☆☆☆☆ボタンを★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
同接1億は創作物だと分かってても現実感なさすぎる。 ダンジョン配信系の作品増えたけど、ここら辺が雑だ一気に今後の展開が不安になる、、、、、、 同接数が現実的な作品の方が、作品練られてて面白い印象
突発配信で一億人集まるならこの世界の人口は少なく見積もっても一兆人はありそうです
[一言] 同接1億て・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ