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社畜剣聖、配信者になる 〜ブラックギルド会社員、うっかり会社用回線でS級モンスターを相手に無双するところを全国配信してしまう〜  作者: 熊乃げん骨
第十六章 田中、剣を直すってよ

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第1話 天月、非常事態に対処する

「……ふう、これでここも終わりね」


 魔物対策省、討伐一課課長の天月奏はそう呟くと、剣を鞘に納める。

 彼女の周囲には強力なモンスターの死骸が無数に散らばっている。討伐一課の同僚も一緒に戦ってはいたが、このモンスターの半数以上は彼女の手によって処理されたものであった。


「お疲れ様です天月課長! これでこのダンジョンも沈静化されました」

「そう、それは良かったわ。予定より早く終わったけど、他に手が必要な現場はあるかしら」

「そうですね……はい、今のところは手が足りているようです。課長もお疲れでしょうから、今は休まれて下さい」

「そう。なにかあったらすぐに呼んでちょうだい」


 天月は部下にそう言うと、ダンジョンから外に出る。

 周囲に人がいない状況になって、彼女は初めて「ふう……」と一息つく。疲れが溜まっているのを自分でも強く感じていた。

 最近のダンジョンの発生頻度は異常だ。そしてダンジョン内のモンスターが活性化する現象も頻発している。

 今はなんとか押さえ切れてはいるが、いつまた魔物災害が起きるか分からない。怪しげな組織が暗躍しているという噂もあるし、気が抜けない状況が続いていた。


「でも誠も凛も頑張ってるんだから、私も頑張らないと」


 そう呟き気合いを入れ直す天月。

 すると次の瞬間、彼女のスマホが『ブー!! ブー!!』と異常事態の発生を知らせる音を鳴らす。


「あ、天月課長! 異常事態発生です! 都内で急激な魔素濃度の上昇が観測されました!」


 さっきまで話していた部下がやって来て天月にそう報告する。

 天月は気を引き締め、仕事モードになると部下に確認する。


「分かったわ、すぐに現場に向かう。場所はどこ?」

「ええっと、それが……場所は港区で、ここのすぐ近くなんですけど……」

「なに? 端的に教えてちょうだい」

「はい。それが、魔素濃度の上昇が観測されたのは『空』なんです!」

「空……?」


 ダンジョンは通常『地下』に生まれる。

 空に浮かぶ城型のダンジョンなど、空中にダンジョンが生まれることもないわけではないが、ごく稀である。そういったダンジョンは侵入にも脱出にも苦労するため、その攻略難度は非常に高い。


 おまけに空中で動いていると国境を超えてしまう可能性もあるため、ダンジョンの所有権の問題も現れてしまい非常に厄介なのだ。


「場所はこの近くだったわね。地上から観測できるか分からないけど、ひとまず目視で探し……」


 次の瞬間、天月は上空に強烈な魔素を感じ取る。

 それだけじゃない、なにか恐ろしい気配を感じ取り全身に鳥肌が立つ。


(なにこの感じ!? なにか恐ろしいものが来る……!)


 反射的に天月は空を見上げる。

 眼前に広がる曇り空。するとその雲の切れ目からゆっくりとなにか(・・・)が姿を現す。


「なに、これ……」


 それを見た天月は絶句する。

 空に現れたのは、巨大な『塔』であった。


 しかもただの塔ではない。その塔は空から逆さま(・・・)に生えていた。

 根本は空間が歪み、異空間から生えているように見える。そこからゆっくりとその塔は生えて来ており、その先端部はドンドン地上に近づいて来ている。


 もしこのまま放置していれば、いずれ塔の先端部は地上に到達するだろう。塔の中にモンスターがいるのであれば、地上にモンスターが解き放たれることになる。

 そうなったら……皇居大魔災の再来だ。天月はぎゅっと強く拳を握る。


「ただちにあの塔の調査班を組みます。達成目標はあの塔の調査と破壊・・。魔対省の人間と手が空いている覚醒者を集めて下さい」

「は、はい! 分かりました課長!」


 天月の部下は駆け出し、急いで人の収集を始める。

 そんな彼女を見送った後、天月は空から落ちてくる塔を一人睨み、呟く。


「二度とあの悲劇は起こさせない。どんな相手でも必ず止めて見せる……!」


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― 新着の感想 ―
こちらの話数は違うし、次には別作品の最新話が公開されてるし、お疲れかしら?更新毎度楽しみにしてるけど、心配になるわね。
1話?別の章に移った? お役所視点になったのはわかるけどどういうことだろうか?
…その頃、田中はダンジョンの中でカニを茹でて食べていた。
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