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社畜剣聖、配信者になる 〜ブラックギルド会社員、うっかり会社用回線でS級モンスターを相手に無双するところを全国配信してしまう〜  作者: 熊乃げん骨
第十章 田中、魔物災害を止める

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第12話 田中、脱出する

 定時を過ぎた時のみ発動できる『斬業モード』。

 いつもは2割程度しか力を使うことができないが、この状態の時に限り全力で力を振るうことができる。


"斬業モード来た! これで勝つる!"

"斬業キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!"

"勝利BGM聞こえてきた"

"そっかもう18時超えてたのかw"

"勝ったな、トイレ行ってくる"

"いや、いくら強くなっても状況変わらなくね?"

"それでもシャチケンならなんとかしてくれるはず"

"田中がやらなきゃ誰がやる"


「先生? いったいなにを……?」

「凛は少し休んでてくれ。あ、揺れるかもしれないから地面をしっかりつかんでた方がいい」

「え、はい……」


 凛は首を傾げながらも姿勢を低くして地面をつかむ。

 それを確認した俺は、剣を構え天井を見上げる。この上には分厚い岩盤と、広い海がある。生き残るためにはそれを突破して地上に出る必要がある。


"マジでなにする気なんだ"

"ワープが使えるとか?"

"次元斬使えるしありえるw"

"普通に地面を斬るんじゃない?"

"それだと水が流れてきて終わりだろ"

"そうだよなあ"

"……やっぱり詰んでない?"

"俺らが信じるシャチケンを信じよう"


 剣を上段に構え、集中する。

 そして力の解放率を7割程度に調整する。

 ……よし、これくらいか。ここまで力を解放したのは久しぶりだ。勢い余って凛を傷つけないように気をつけなくちゃな。


 俺は細心の注意を払いながら、頭上めがけて剣を振るう。


「我流剣術真式――――星斬ほしぎり」


 剣が振るわれると同時に、不可視の剣閃が頭上に放たれる。

 その会心の一撃は一瞬にして岩盤を斬り裂き、更にその上に広がる海をも一刀両断してしまう。


"は?"

"えっ"

"えええええ!?"

"なにこれ"

"ハア?"

"ひいっ"


 綺麗に両断された岩盤と海。その先には空が広がっている。

 ふう、久しぶりにやったけど上手くいった。


 凛の方を見ると、彼女は切り開かれた頭上を見ながら、唖然としていた。


「せ、先生、今の技は……」

「ん? 星斬りのことか? 星斬りは『対星用・・・』の技だ。斬撃に斥力せきりょくをまとわせることで、斬ってしばらくは元に戻らないようになっている。30分くらいはあの海も斬れたままだろう」


"斬撃に斥力をまとわせる……?"

"なるほどわからん"

"????"

"視聴者の顔が宇宙猫になっちゃった"

"てか斥力ってなんだよ"

"物体を反発させあう力だけど……斬撃にまとわせるというのは意味が分からんw"

"物理法則「今日何回壊れればいいの?」"

"物理法則くんの体はもうボロボロ"

"それ以前に「対星用たいほしよう」の技ってなに? 星と戦う予定があるの?"

"深く考えるな、感じろ"

"シャチケンなら本当に星と戦えそう"

"これは凛ちゃんもさすがに引……いてないわ、むしろ惚れ直してそう"

"戦闘民族だから仕方ないね"

"はよ結婚しろ"

"婚約済なんだよなあ"

"末永く爆発しろ"


「よし、じゃあ帰るとするか」

「はい、私たちの家に帰りましょう」


 俺は凛をおぶって、切断面を歩きながら地上へ向かう。

 途中から足場が岩盤から海に切り替わるが、水は斥力で固めてあるため普通に歩ける。


 凛は背中におぶられながら、海の断面を眺める。


「綺麗ですね。水族館みたいです」

「そうだな。せっかくだし今度本物の水族館でも行くか?」

「い、行きます! 絶対にっ」

「おい、暴れたら危ないぞ」


 俺たちはそんな何気ない会話をしながら、ダンジョンを無事脱出し地上に帰還するのだった。


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― 新着の感想 ―
なるほどわからん
改名して田中モーセにすべし
[一言] 世界の終末に彗星が堕ちてくるのはお約束だから対星用技はあればあるほど良い
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