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天王様は一般庶民として生活中です  作者: TAREさん
第一章
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5話

お金の単位はエナです。

鉄・銅・銀・金・翠 の貨幣があり、十・百・千・万・千万の認識で。

結構ざっくりです。


「今日はこれからどうしますか?」

「そうだね、まずお店を決めないとかな。いろいろ買うものもありそうだけど下見しておきたい。」

 入学も決まりいよいよこれからに期待する思いが膨らむ。そんな準備は楽しい。 早速必要な物のお店巡りが始まり、チラシを貰った店もそれとなく覗いてみる。


「んん~。  んん~~。」

「どうかされましたかの?」

「・・・。どこがいいかわからない・・。他の人はどうやって決めているのかなぁ?」

午後のティータイムにチラシを並べ悩んでいる。

(こういうのは直感ですって。店の雰囲気とか、印象とか。)

(金額の予算や扱っている物など、条件の合う所でしょうかね。)

「一番は信頼できる所でしょうな。これは話し合うしかありません。」

(勢いは大事だぞ。思い切って選ぶんだな。)

(いきなり一つではなく、良さそうな所を絞ってみては?比較してみないと選べないでしょうし、相手は商売人ですから交渉は上手くしないと足元を見られます。)

とアドバイスされるが。

「む、難しそう。。」

とテーブルに伏せる。

「ノワール、クレイ、ここは私たちが見本を見せた方が早いと思いますな。」

(よしっ、ここは一肌脱ぎますか。)

(エナト様のためなら喜んで。)

そうと決まれば行動だ。



=シィメの場合=

「実は孫の入学が決まりましての。いま店を探しておるのじゃが、こちらでもやっておると伺ってな。如何ほどで請け負っているんじゃろうか?」

この店の店主はガタイのいい人だ。力持ちの印象。

「あぁそうかい。うちは大体金30からだぜ。」

「ほう。私も昔お願いしたことがあったが、高くなったのぅ。」

「そりゃあ爺さんくらいの齢で昔っつったらなぁ。うちは力仕事が腕の見せ所だから人件費が高いんだよ。その代わり家具はしっかりしてるし、仕事も一日で終わらせられる早さも売りだ。」

「ほっほっ、それは頼もしいの。」

「どうだい?」

「そうじゃのぅ、一考してみようかの。孫とも話し合ってみます。」

「そうかい。まぁ決めるなら早い方が良いぜ。うちは駆け込んで来る奴が毎年いるんでね。」

「そうさせてもらおう。」



=クレイの場合=

「オレの知り合いの身内がさぁ、今店探しててさ、それでオレもそれ手伝ってるんだけどね。 安くなんない?」

いきなり値切りで店員も戸惑う。

「は?はぁ。。えーその、お知り合いのお身内様のご要望は、どの様なものなのでしょうか。」

「んーとだな、日は急いでなくてぇ、別に一日でなくていいんだけど、経費は出来れば抑えたいって言ってたな。で、ここが一番安いってチラシに書いてあったらしい。」

そこで店員も内容が分かったようだ。

「あぁ、あのチラシをご覧になったのですか。えぇ、当店はお客様に合わせた提案を行っておりまして、荷をお運びするだけでしたら金10から20、最低限の物をセットにしたのが必要でしたら金15から、お客様が選んだ物を手配するところからとなりますと、金25から30以上と少々値が張りますね。正しこれは20日までのお得期間中の話になります。」

「へぇ、なるほどな。考えてるねぇ。」

感心感心。

「いかがいたしましょう。」

「うんうん、分かった。まだ他にも回ってみたいから候補ってことで持ち帰るよ。もし決まったらその時はよろしくな。」

「お待ちしております。」



=ノワールの場合=

「少々よろしいでしょうか。私の甥っ子がこの度学園に入る事になりまして。部屋を少し替えるために店を当たっております。」

この店は少し高級路線が伺える。

「それはそれは、おめでとうございます。当店はお客様に満足して頂ける品揃えでございますよ。アンティークから一点物、お部屋の内装もランプから壁から絨毯、装飾も全て替える事が出来ます。後半になるとどこも埋まり断られる所が多く、値段も上がる中で当店はお式3日前まで断ることがないようにしておりますし、値段も一律始めの設定のままでございます。」

「ふむ。 ちなみにこちらでの相場はおいくらですか?」

「そうですね、前後はいたしますが金50かと。お選びになった商品により差がでますので。」

「こちらの商品だけで私物の運搬はなしですか?」

「ご要望とあればもちろお受けいたしております。量によってはその分勉強させて頂きます。」

「そうですか。ーー」

「いかがでしょう?」

店内を見ながら考えて。

「そうですね。 ありがとうございます。とても良いお店だと思うのですが、甥っ子には少し敷居が高いかもしれません。いづれ相応しいと思えばその時参る事に致します。どうもお時間をとってしまい申し訳ありませんね。」

「いえいえ、またいつでもいらしてください。是非今度は甥御様とご一緒に。」

「えぇ、失礼いたしました。」


3人が行ったどの店も売りが異なり、多いからこその商売の仕方なのだと知った。



 翌日。エナトは一枚のチラシを手に向かう。そこは小さな職人街と呼ばれる地区だ。

「んー、案内だとここら辺なんだけどぉ・・。」

「何と言う名の店ですかの?」

「マナの木だよ。」

そう言うと。

(あ。・・・あれですかね。)

(え?・・・ここですか?)

「・・・、やっておるのかの?」

確かにあった。

「こ、ここだよきっと。看板あるし。。」

ボロボロですけど。

(いやぁ、やる気が見えない店?)

(人はいる気配はしますよ。)

なんとも不安。

「よしっ、行ってきます。」

「すぐ近くにおりますからの。」

建付けの悪いドアを開けてうす暗い中へ入る。

「あのー、すみません。」

声をかけるが誰も来ない。ベルもない。もう少し大きな声で呼びかける。

「あのっ、すみませんっ、誰かいらっしゃいませんかっ?」

すると奥の方から音がして、やがて一人の男性が出て来た。

「・・・・・・誰だ?」

無愛想に聞かれる。

「あの、どうも、チラシを貰って来た者です。ここの店を、その、紹介されまして。。」

「あぁ・・。 少し、待て。」

少しムスッとした顔で奥へ引っ込む。大丈夫だろうかとそのまま待っていると、男性が戻って来た。

「すまんが、娘は今、取り込み中で、相手ができないそうだ。」

< ドドドドドドドドド・・>

「?」

何やら奥から音が・・?

「なので帰って、出直し・・っ!?」

「こんのっ、バカ親ーーーっっ!!!」

「っ!?」

途中から音がしたと思ったら、奥から女の子がいきなり飛び蹴りをするという、衝撃の光景を見た。

「お客様が来たならそう言ってっ!そしてなに帰そうとしてるのよーーっ!」

「・・・いや、そう言ったんだが・・。」

「聞き取れなかったのよっ!」

するとそこにもう一人奥から来て。

「師匠、お嬢さん。」

「何っ?」

「?」

「 お茶、出しましょうか?」

と苦笑いして言う。そこで女の子はハッと我に返り、バッ!とエナトを見た。

「っ!」

そして真面目な顔でじ~っと見て、一歩、一歩近づいて来る。

「・・・??」

体が引き気味になりつつ戸惑い、目の前まで来ると。

「っ!?」

がしっと肩をつかまれた。

「(えぇっ?)」

「よくここまで来て下さいましたっ。」

そして両手をぎゅっと握る。

「逃がしませんっ。」

「えっ?」

堂々と不穏な事を言われた。ちょっと混乱。そこでいつの間にかギャラリーが6人増えていて、その内の一人が咳払いをする。

「! あっ、すみませんっ。つい本音が。」

自らも咳払いをし一歩下がる。


気を取り直し。

「先程は父が失礼を、お見苦しいところをお見せいたしました。私ここの店主の娘で看板娘のアリナ・エターシャと申します。本日はどの様な要件で?」

「あー、はい。 あの、これで来たのですが・・。」

とチラシを見せる。

「まぁっ!ありがとうございます!さぁさぁ、こんな所ではなんですしっ、狭い所ですが奥に部屋がありますので、存分・・にお話合いをしましょうっ。さぁさぁっ。」

と手を引っ張られる。

「サキチっお茶をっ、お茶を沢山お持ちしなさいっ。」

「えっ?あのっあのぉー。」

どうぞどうぞと中へ連行・・いや案内される。その時の周りの目は憐れみがこもっていたような気がする。。



「ささ、粗茶ですがどうぞ。」

「あ、どうも。」

 部屋には先程いた全員がいる。その中でテーブルを囲んでいるのはエナトと店主、娘、先程咳払いしていた少年。

「改めて、この度は当店マナの木へお越しいただきありがとうございます。」

「いえ。」

「当店の売りはどこよりも親切丁寧、そして真面目な仕事、信頼第一。相談や補修もばっちり受けております。 早速ですがどの様なお部屋をご希望ですか?もちろん荷物の運搬も手配させていただきます。」

「・・・えとぉ。。」

すっかり相手のペースにのまれてしまったが、自分の考えや要望を伝えるために静かに深呼吸する。

「あの。」

「はい。」

「紙とペンを」

「はい。・・・、はい?」

意味が伝わらなかったらしい。

「その、上手く説明できないので、部屋の見取図を描いて分かってもらえないだろうかと・・。」

「・・・。 直ぐに紙とペンをここにっ!」

持って来させる。


そこからは同じ学生の分かる者で見取図を描いて、どこに何が欲しいかを言っていく。実際には現場に行ってサイズを測り、設計に関わる事を決めるそうなので、3日後にお願いした。

「分かりました。ではその時にまた・・ーーー!・・あの、話をまとめていてなんですけど、・・うちで任せて頂けると言うことでいいんでしょうか?・・」

いつの間にか仕事の段取りになっていた事に本人が気付く。

「えぇ、引き受けてくれる所を探してたんですが?」

「あ・・・、ありがとうございます!代金も勉強させて頂きますのでよろしくお願いします!」

「こちらこそよろしくお願いします。良心的なお値段で。」

「お任せくださいっ。」

それから唸りながら店主と話し計算して。

「 はい。 金20エナでいかがでしょう。」

「 はい、ではそれで。」

すんなり了承。

「・・え?いいんですか?」

「え?大丈夫ですよ?」

「いえあの、もっとこう、食い下がるとか?」

交渉のこの字もない。

「? いえ、妥当な料金では?他の店も回りましたが、金20エナは平均かちょっと下、いい値だと思います。」

「う。そ、そうですか。」

代金は近日中に払う事になり、契約書にサインをした。 


 仕事の話が終わると空気もほっと一区切り。そこからは先輩と後輩の会話になり、名前も教えてもらった。チラシを渡してくれたクリス先輩もそこにいた。アリナ先輩は生産職希望と聞くと歓迎された。


「ではそろそろ失礼します。外に祖父が待っているので。」

「そう、お爺さんが外にいらっ・・・・・・、なんですってーーーっ!!」

「っ!」

「何でもっと早く言わないのぉっ!」

と叫んで外へ駆け出す。 最初から最後までドタバタ感が出たが、店も決まって一安心。







ずっと書き続けるのって大変なんだね。

他の小説読まないと気力が湧かないなんて知らなかった。。

一話ごとに7時間以上かけてるってどうなんだろうか?

次はいつになるやら。(-_-)

またよろしくお願いいたします。 

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