4話
保冷箱は冷蔵庫代わりです。冷凍箱もあります。大きさや種類もあるようです。
*プラスチックは存在していません。
第二正門は学園の右側に位置している。幅広く隣りには馬車専用の門。アーチ状の門の向こうには緑のアーチが続いている。
「わぁ。こっちもしっかりした門だね。」
「では私たちは近くでお茶でもしてますからの。」
「うん、そんなにかからないと思うから。ちょっと行ってきます。」
門兵に寮の場所を聞いて向かう。
「うわぁ・・。(寮って、こういうものなのかな。)」
庭付きの豪邸にしか見えない。ちなみにここは男子寮だ。女性用は入った門の反対側にある。
中へ入って案内を見つける。
「(寮長さんはここかな。)すみませーん。」
誰もいないようなので声をかける。しかし来ない。
「(お留守?)」
もう一度と思って声をかけようとしたら、ベルが目に入る。これを鳴らせと言うことだ。
< チン チン♪ >
しばらく待つと。
「はいはい、今行きますよー。 はぁ~。 お待たせしました。」
急いで出て来たのは長い髪を緩く結んだ30~40の眼鏡の男性。
「すまないねぇ、ちょっと離れてたものだから。私がここの寮長をしているグラン・ロッツと言います。新入生ですね、ようこそ。」
「初めまして、エナト・マルナと言います。これからお世話になります。」
「よろしく。えー、エナト・マルナ君ね。部屋を見に来た、でいいのかな?」
「はい。」
「ちょっと待ってねー。 えーと。 あぁあったあった。 はい、これが鍵ね。説明はいるかな?」
「えーと、・・お願いします。」
思った鍵の形でないのでお願いする。キーカードと呼ばれるそれは、鉄のようだ。薄い四角の板。部屋の扉の横に差し込む所があり、入れると開くらしい。内側にもあって、閉める時も同じようにする。
エナトの部屋は3の17。奥に談話室があるそうだが、それより前の左側の階段を3階まで上がった17号室。教えてもらった通りに行ってたどり着くと、それらしいポケットがあったのでキーカードを入れてみる。するとガチャっと開く音がした。
「おぉ。」
中へ入ってもう一度入れて音がすると、扉はきちんと閉まっていた。
「へぇー、面白い。」
関心しつつ奥へ行くと。
「お。結構広い。」
一人暮らしにしては充分過ぎる広さ。まずリビングがあり、テーブル・椅子・ソファーがある。左側一角にはキッチンカウンターと椅子があり、その向こう側には簡易的に温めたり洗い物が出来る設備がある。保冷箱が2つと食器棚もある。左側向こうにはお手洗いと洗面台、脱衣所にシャワー室だ。正面には外へ出られるテラスがあり、普通に一部屋はある広さだ。右側に続く部屋は寝室で、ベットとハンガーと棚が一つ。他にはクロークと勉強できそうな個室があった。
エナトはソファーに座り、しばらくずーっと考えるように目をつむる。
「ふむ。。」
気が済んだのか立ち上がり、「よしっ。」と謎の気合いを入れて部屋を出た。
階段を降りて足を向けたのは談話室。一目見て思ったのは、広いという事とお金がかかってるという事だ。
「(川があるって斬新。橋もあるし。)」
一つ一つの席にゆとりがあり、開放的でありながら他の視線を遮っている。室内にある庭をイメージしているようだ。
さらりと眺めると寮長のロッツの所へ行き鍵を返した。ここで生活するようになれば、鍵は外へ出ない限り持っていていいそうだ。門兵にも渡せるらしい。
寮を出て門につく頃には4刻半くらいになっていた。
「ノワール、待っていた?」
ホークが舞い降りて肩に乗る。
(いいえ、丁度いい時でした。)
「なら行こう。僕も喉乾いちゃった。」
(はい。)
そこから合流すると一服し、一度宿へ戻ってから4人で外食へ。
「確かにちょっといいお店だね。」
庶民でも入れそうだ。大衆食堂ではなくおしゃれなレストラン。
「僕夜に食べに来たのは初めてだからワクワクする。」
「そうでしたかの。」
「そうでした。夜の街はまだ早いって言われて。」
「そう言う意味ではまだ早いですよ。」
「そう言う意味って?」
「ふふ。まぁ変な人に絡まれたり、いろいろ危険もありますから。」
ちょっとはぐらかされた感がある。
「さぁさぁ、今夜はお祝いですからの、沢山食べましょう。」
「賛成ー。」
運ばれてくる料理に手をつける。
「それでお部屋はどんな感じでしたか?」
ノワールに問われ感想を言う。
「そりゃいい部屋だ。オレの時は2人部屋でもそれは無かった。」
「確か4人部屋もあるんでしたね。」
「へぇ、それも楽しそう。」
クレイが言うには面接の時の志望によって決められるらしい。武道の道を志す者はまず4人部屋が当たると。将来的に考えて、共同作業や一緒に寝泊まりする事に慣れさせる為らしい。それと荷物を少なくする事で身軽に移動出来る行動を身に付けて、いろいろとトラブルもある事を学ぶのだとか。とは言えそれ以外が一人部屋ではない、富裕層や貴族用で、使用人付きはもっと広くて豪華らしい。総合的には2人部屋が一番多いのではないかと言う事だ。つまりエナトの部屋はラッキーである。
「クレイは入った事があるの?」
「豪華な部屋ですか?ありますよ。同じ科だったりクラスだったりで仲良くなりましてね、話し合いには良かったんですよ。」
「ふ~ん。 お友達?」
「まぁそうですね。」
「そっかぁ。 ・・友達、か。。」
「 きっと出来ますよ。」
友達が出来るのか心配する本人に、3人の大人たちは温かく見る。
気づいたでしょうか。。
レストランでクレイとノワールが猫とホークでないことに。
実はさらっと人になれるんです。便利だよねー。その上組織に席を置いている職持ち、、あ、それはまた今度に。
読んで頂きありがとうございました。vv