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天王様は一般庶民として生活中です  作者: TAREさん
第一章
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3話

時計の時刻は1刻2刻表示ですが、それ以外は時・時間にしています。

一日24時間、一年12ヶ月

月は”がつ”ではなくて”つき”読みです。

1月は60日、一週間は10日で考えています。



「あ~ドキドキする。」

(大丈夫、きっとありますよ。)

(そうです、ちゃんと受かってますって。)

「ではミケ猫食堂でお待ちしてます。」


 今日は学園入学の合格発表2日目。混むことを考え初日を外したが、途切れることなく人の出入りがすごい。それだけ受験者が多かったのが分かる。

闘技場前まで来ると、同じ年頃の人達で混んでいる。


「(すごいなぁ・・。これ並んでるのかな?)」

とてもそうは見えないが、結果が分かった者は退いているから取りあえず後ろにつく。

「(えっと、、僕はEの235番だからぁ・・・、あっちの方か。)」

掲示板の上にはそれぞれ大きくA~Jの文字ががある。それを見て移動した。

周りを見ればそれぞれ真剣な表情をしている。不安そうな者も、まだ見ないとばかりに俯いていたり、目を閉じている者もいる。結果を知った者もそれぞれだ。安堵する者、喜んでよしっと拳を握る者、悲しむ者、呆然とする者、涙する者。

エナトもその一人となる。結果は・・・。


人の間をぬってそこから離れたエナトの表情は、微笑していた。



 案内に沿って行ったそこも待ってる人が多かった。20の窓口にA~Jの案内がでている。Eの所は比較的空いていて、まだ座れる椅子には余りがあった。案内の人に言われて詰めるように座ることに。

「お隣失礼します。」

「ん、あぁ。」

先に座っていたお隣さんに一言いれる。エナトよりも背の高いショートヘアの男性。

「お互い合格出来て良かったね、おめでとう。」

「あっはい、おめでとうございます。」

話しかけられた。

「・・・。もしかして初めて?」

「え?あ、はい。初めてです。」

「そりゃ凄いな。俺は3回目。何とか入れたって感じ。」

「あぁ、では14歳ですか。僕は12歳です。ここ、14歳まで受けられるって知らなくて、試験が終わってから知りました。」

「そうなの?まぁ、知らない人もいるか。俺はジンク・フォード、宜しく。」

「どうも、僕はエナト・マルナです。ハルサトから来ました。」

「俺はレフターだ。同じクラスになるかわからないけれど、どこかで会えたらその時はよろしく。」

「こちらこそ。」


 そうして挨拶しているうちにもう片方のお隣も埋まっていた。直に順番は来て呼ばれたので窓口の椅子に座り、受験番号と名前を言う。

「はい、確認致しました。エナト・マルナ様ですね。この度はエナルミア王立学園合格、誠におめでとうございます。」

「あ、どうもありがとうございます。」

祝福の言葉に嬉しく照れる。

「早速ですが、まず仮通行証のご返却をお願い致します。」

そう言われてカードを渡した。

「ありがとうございます。ではこれより本学園の入学手続きと入学式までの説明に入らさせて頂きます。」


受付の女性はテキパキと話し進めていく。入学式は4の月の1日。後約半月後だ。エナトは寮に入るので、学園内の施設はまだ使えないが入寮は今日からでも出来るそうだ。寮や学園の決まり事が書かれた冊子を貰った。

寮の部屋は最低限の物と、前の人が置いていった物があったりするそうなので、一度見に行って好みの違いや足りない物があれば、模様替えが出来るそうだが、自分で探して頼む形らしい。

尚、寮にはクレイとノワールも同居する予定なので、大丈夫か尋ねたら、契約獣としてOKされた。滅多に連れて来る人はいないらしい。特に平民で。後日専用のアクセサリーを用意してもらえる事になった。

授業の持ち物を尋ねると、基本筆記用具くらいであとは教師次第だと言われた。

最後に学生証となる腕輪を貰った。門の通行証や身分証にもなり、ギルドでも通用するそうだ。真ん中に透明な石がはめられていて、そこに個人情報が記録されているらしい。学園の購買所ではこれで会計すると、自分の口座から自動的に引き落とされるのだとか。


 エナトは説明を受けた後、次の所に移動した。そこも結構待ちが出来ている。ジンク・フォードもいたが目のやり取りだけで別の所に並んで待った。


「次の子いらっしゃーい。」

その内呼ばれて行くと、3人の男性がいた。

「初めまして、私は服飾店ファムリーのリズア・ファムリー。あなたのお名前は?」

「はい、エナト・マルナです。よろしくお願いします。」

「よろしく。気を楽にして、まずは身長から測ります。」

首にかけたメジャーを手にして手際よく測る。流石プロ、ものの5分で採寸は終った。制服は細かい所は自由らしく、裏生地やボタン、ポケットは変えられるとか。エナトはよくわからなかったので、取りあえずそのままでお願いした。小物も注文出来ると聞いていたので、制服に合わせた入れ物や靴下、ハンカチも頼んだ。

終わりには採寸表を貰った。一着目はファムリーで作るが次回は他の店でも良いらしい。ただ、成長期でサイズが変わりやすいので固定の店を作るのが良いと勧められた。


採寸が終わってこのまま寮を見に行こうかとも思ったが、もう昼近いので一度待ち合わせの場所へ足を向けた。門を出ると。

「おぅ兄ちゃんっ、合格おめでとう。寮の中はもう見たかい?」

「部屋のことならうちに任せなっ。人材そろってるよ。」

「家具の種類ならうちが一番さっ。床から天井までお任せあれっ。」

賑やかだと思えば例の模様替えの売り込みらしい。あちこちでチラシを配っている。エナトも対象なのでほいほい渡された。なんで分かるのかと思えば、左手に付けた学生証の腕輪だ。


やっと終わったかなと抜けた所で声をかけられた。

「よろしければこれをお使い下さい。」

「え?」

相手を見ると齢は上だが10代なのは分かる。

「両手が塞がっていては歩きずらいでしょう。この中に入れていかれると良いですよ。」

と親切なのか手提げ袋を出される。

「はあ。いやでも・・。」

なんで自分に?

「あぁすみません。私はここの生徒で4学年のクリス・ラッセルゼと申します。いきなり声をかけて申し訳ない。」

「あぁ、そうなんですか。」

「私も入学する時に模様替えをした口ですが、あれは毎年この時期の恒例でして、早いうち決めないと準備が大変なんですよ。模様替えも一日では終わらなこともありますし。」

「はあ。。」

「予定が遅くなると他の業者と被って混雑するのです。依頼をする側も遅くなると、引き受けてもらえる所が少なくなるそうです。」

「そうなんですか。。」

「なので先輩から君へ提案と思ってね。」

「はあ。えと、でもなんで僕に?」

「もちろん君だけではないよ、ほら。」

と顔を向けた先を目で追うと、そこには他の人に声をかける少女がいた。

「ちなみに、もし迷うのであれば私からおススメを。」

と一枚のチラシを出す。

「実は友人の店なのだが、同じ学生の方がよく知っているし相談もしやすいと思う。小さい店かもしれないが仕事はしっかりしているし、損はないかな?良かったら是非来店してみてください。」

「・・・はい、どうも。」

チラシを入れた手提げ袋ごと渡されて受け取る形になった。


 エナトはその後予定通りにミケ猫食堂へ。

「お待たせー。」

「随分かかりましたな。少し心配しておりました。」

「うん、行くとこ行くとこ待ってる状態だったからね。」

「お疲れでしょう。まずは何か飲み物を。」

店員を呼んでジュースを頼む。


(結果はお聞きするまでもありませんが、いかがでした?)

「うん、合格した。」

(おめでとうございます。)

「おめでとうございますですな。今夜はお祝いに少し豪勢にしましょうか。」

(よしっ、オレもおごるから食うぞっ。)

(今日は特別ですね。)

今夜はちょっと良いお店に決定したが、その前にランチを頂く。

(ところでその手荷物の紙は資料か何かですか?)

そう問われざっくり話す。

(あぁあれか。かき入れ時だからな。)

「なるほど、模様替えされる方向ですかの?」

「どうしようかな。一度部屋を見に行こうとは思ってる。早い方がいいみたいだし。」

(サラッと見るだけなら今日の内でもいいんじゃないですか?)

「そうなんだけど。あの勧誘の中をと思うとねぇ・・。」

「でしたら3刻以降にしましょう。その頃には空いているでしょうから。」

それまでのんびりしようとなり、ぶらぶらと散策して時間を潰した。そして再び学園へ向かって行くと。


(あっ、エナトそっちじゃないですよ。)

「え?」

(寮へ行くなら第二正門の方が近いんです。)

「え?第二正門?」

(そうそう。むしろ生徒からしたらそっちが正門みたいなものです。正面の門はお客さん用って感じですね。だから事務所や闘技場はそっち寄りにあります。)

「へぇ。」

(ちなみに王族用や関係者のみとかの小さい門もありますが、一般生徒には関係ないので知られていません。)

「詳しいね。」

(昔のなんとやらです。)

こっちこっちと先導されついて行く。もう一つの門は右側にあった。




眠たい。。。

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