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#ハンバーガー

#ハンバーガー


「シャー!」

するとムロはいきなり、俺の手をひっかいてきた。

その上、容赦なく、喉元にガブリと噛みつく。

「ウゥー!」

だが、俺にそんな攻撃が通用するはずもなく、そのまま俺は、ムロに強引に首輪をつける。

「な、何だこれ!? は、外れない!? は、外せ!?」

「何だお前? 人の言葉が分かるのか?」

「当たり前だ! ムロは特別なんだからな!」

そんな事言うが、ムロに首輪を外す知恵はない。

そして、再び俺に飛びかかってきたが、今度は、ムロに電流が流れる。

「ふぎゃー!」

首輪の効果だ。

人間へ危害を加えようとすると、電流が流れる仕組みなのだ。

「ウゥー、ウゥー」

それでもムロは、何度も俺への攻撃を試みる。

「ムギャー!」

だが、結果は同じだった。

「ウゥゥ……。殺すならさっさと殺せ……!」

歯を食いしばりながら、抗うが、それさえ許されない。

ギュルルルルー。

そんな中、ムロのお腹が大きく鳴った。

「……腹減ってたんだろ?」

そこで俺は、さっきムロが奪っていたハンバーガーを差し出す。

当然、お会計は済んである。

バシッ!

しかし、ムロは、電流を浴びながらもその手を引っ叩いた。

その反動で、ハンバーガーは地面に……。

「人間の施しなんて受けるか……! どうせ毒でも入ってるんだろ……!」

そりゃーそうなる。

俺がムロの事を分かってない様に、ムロも俺の事を分かっていないのだから。

「……なら俺が頂こうかな?」

「はぁ……?」

俺は、砂まみれになったハンバーガーを手で払って、ムロの目の前でムシャムシャ食べ始めた。

「あー美味し」

「な、何やってる……?」

その様子にムロも戸惑っていた。

「何って? お前が食べない様だから俺が頂いてるんだ? じゃあ、もう一つも頂こうかな?」

もう一つも拾う。

バリバリバリ。

「やめろ……」

「どうせ殺されるんだったら、俺なら、腹いっぱいになって死にたいね……」

「やめてくれ……」

「じゃあ、最後の一つも――」

そして、俺が最後の一つを拾おうとした瞬間、ムロは、慌ててそれを阻止した。

「こ、これは……ムロのだ!」

「はははは! やっぱ腹が減ってたんだな?」

ギュルギュルギュルー。

「そ、そうじゃない……。ただ、これはムロが手に入れた物だ……。それを人間ごときに取られるなんてしゃくだからな……」

するとムロがハンバーガーをガツガツ食べ始める。

「美味いだろ?」

「ふん……不味すぎてゲロが出そうだ……」

その後、俺たちは、ムロを王都に連れていく事にしたが、そんなムロは、観念したのか、もう襲い掛かってくる事はなかった。

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