#一週間後
#一週間後
「真実の日って何なんだ?」
俺とフニャールとアリサは、部屋でリースが来るのを待っていた。
「アタイもよく分からないけど、魔物が一杯攻めてくる日だな」
「この世界には、人間界と魔界があるの」
するとアリサが続けた。
「でも、人間界と魔界は元々一つだった。勿論小さないざこざはあったけど、上手く共存していたらしいわ。だけどそんなある日、人間の前に、突然勇者と呼ばれる存在が現れたの。その力は強大で、この世界の均衡を大きく崩したと歴史の本に書かれているわ。そして、その力で優勢に立った人間たちは、その力におぼれながらも、この世界から魔族を追い出し、結界を張ることに成功したの」
「へぇー」
「ただそれも長くは続かなかった。なぜなら勇者が姿を消して、今度は、魔界に魔王が誕生したから……」
「魔王?」
「伝説だと百個以上のスキルが使えたと言われているわ。その魔王は今、人間界と魔界に穴を作ろうとしている。そうすれば強力な力を持つ魔族も、結界の隙間を抜けられる様になるからね? そして、年に数回、魔王の魔力が高まる日がある。それが真実の日なの」
「ふーん」
「もし今、人間界と魔界が完全に繋がったら、人間界は滅ぶと言われてるわ。それは、もしかしたら五年後かもしれないし、十年後かもしれない。だから、各国は、伝説の勇者に匹敵する人間を育成しようと躍起になってるの」
「なるほどね……。でも、何で魔族はそこまでして人間界にこだわるんだろうな? だって、いくら魔族が優勢だって言ったって、無傷では済まないんだろ?」
「それは、分からないわね。でも、人間界が豊かだからじゃない?」
「そうなのかなー? もしかしたら各国は、何か重大な事を俺たちに隠しているんじゃないだろうか?」
「……そんなのアタイたちには関係ないよ」
すると静かに話を聞いていたフニャールが会話に参加する。
「アタイたちは、明日のご飯のために戦い続けるだけさ」
「でも、きっと、アタシたちは、いつか魔王の事を知らなくちゃいけない時が来ると思うわ。なぜなら魔王が創造主と関係あるかもしれないからね?」
「創造主? 何の話だい?」
ガチャ!
フニャールが首を傾げると同時に、俺たちの目の前のドアが開く。
リースだ。
「どうだった?」
俺は、リースの方に視線をやる。
「確かに一週間後に真実の日が来るって……」
その時のリースは、戸惑っている様で、恐れている様で、覚悟を決めている様な表情だった。




