#朝の始まり
#朝の始まり
チュンチュンチュン。
外で小鳥のさえずりが聞こえる。
窓のカーテンの隙間から日の光が射しこむ。
「うぅぅ……朝か……」
それで目覚めた俺は、大きく背伸びした。
「ルーシー! 朝だよ!」
だが、その瞬間、リースが部屋に飛び込んできたのだ。
「あ……」
驚く間もなく、俺とリースの目が合うが、俺の横には軽くパジャマのはだけているルーシーの姿があった。
「ととと、俊彦……? なな、何やってるの……?」
リースの表情が一気に青ざめる。
「いや……これは違うんだ!」
俺は、必死に弁明しようとベッドから乗り出したが、手錠がベッドに繋がれていて、そのまま倒れる様に顔面を床にぶつける。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そのリースの悲鳴は、朝の始まりを告げていた。
「ご、ごめん」
俺は、鼻血をティッシュで押さえながらリースに謝る。
「ううん。ちち、ちょっと、わ、私も、ビックリしただけ」
リースは、リビングで苦笑しながら、昨日の事を理解してくれた。
「それよりルーシー? 何であんな事したの?」
「……好きだから」
「エ?」
再び俺とリースは目を合わせるがそれはどういう意味だろう?
これ以上余計な展開は勘弁である。
「これ」
そうルーシーが両手で取り出したのは、俺がリースにプレゼントしようとしていた靴だった。
「あ、ああ、く、靴ね?」
俺は、ルーシーの言葉に、ドキッとしたが、なんとか平静を保つ。
するとルーシーは続けた。
「プレゼント……」
どうやらルーシーはリースにプレゼントがしたかったみたいだ。
「くれるの……?」
「うん」
「履いてみたら?」
それに俺も乗っかる。
「ええ」
そして、リースが履くとそれはまるで……お姫様の様な靴だった。
「ありがとう」
ヴァタン!
「リース様!」
だが突然、ドアが開いたと思ったら、そこに、慌てた様子でアザゼルが駆け付ける。
「こんな所にいましたか!」
「ど、どうしたの?」
「ついに真実の日がやってきます!」
それは、朝の終わりを告げていた。




