#好き
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結局、俺は、この大きな屋敷でルーシーを見つけることが出来なかった。
後で、リースに部屋を聞くしかないなと思い、とりあえず夕食の準備を手伝う事に。
「遅いぞ! 俊彦!」
「すまん。フニャール」
「謝罪はいいから、さっさとその料理を運んでくれ」
フニャールはとっくに来ていて、すでに料理はほぼ完成していた。
なので俺が出来上がっている料理をダイニングに運ぶと、驚く事にフレリアさんとリースの間にルーシーがいたのだ。
「俊彦!」
俺は、リースに名前を呼ばれる。
「紹介するわね? 私の妹のルーシー」
「よろしく……」
俺は、戸惑いながらも挨拶をする。
「よろしく」
するとルーシーは先ほどの件が嘘の様に挨拶する。
「ここんところ体調が悪くて一緒に食事が出来なかったけど、薬のおかげで大分良くなったの」
リースは、満面の笑みだったが、俺は、まだ戸惑っていた。
「それは……よかった」
この子が以前、リースが薬を買ってきた妹か……。
病気で外も出れなかったらしいが、元気になって何よりである。
でも俺はそんな事より、プレゼントの行方が気になった。
どうなったのだろう?
足のサイズが違うだろうから、ルーシーには履けないが、何でそんな事をしたのだろう?
まぁ……まだ子供だ。
よく分かってないのだろう。
そのまま食事が終わると俺は、早速ルーシーを呼び止めた。
「ルーシー?」
「何? お兄ちゃん?」
「さっきの返してくれないか?」
「返す?」
「いや、さっき俺から奪ったものだよ?」
「嫌……。だって、アレはルーシーが貰ったんだもん」
「あげてないから……」
「じゃあ、ルーシーの事好きって言ったのは嘘なの?」
いや、好きとは言っていない。
特に嫌いな理由はないかなっと言ったのだ。
だが、そういう話でもないだろう。
「いや、嘘じゃないよ。でも、あれはリースのために買った物なんだ」
「……なら後でルーシーの部屋に来て。……二階の部屋よ」
「……分かった」
よかった。
俺は、食べ終えた食器を片付けた後、ルーシーの部屋へ向かった。




