表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/141

#ルーシー

#ルーシー


「何買ったの?」

デパートでリースがダックスの様な表情で後ろから俺に声を掛ける。

「いや……」

俺は、この異世界に来て、服は、リースの所にある奴を借りていたが、靴はぼろいまんまだった。

それで新しい靴を買ったのだ。

「似合ってるわよ?」

俺が履いてみせると、リースが褒めてくれた。

「アタイもセールだったから奮発しちゃったよ」

フニャールの右手にも、アイアンナックルが装着されていたが、家族とご馳走を食べる話はどうなったのだろう?

いくらアイアンナックルが他の武器に比べて、安いとはいえ、十二万五千エンドで買えるかは、俺も知らない。

「最後の一つだったから九割引きにしてもらったよ」

まぁ、フニャールが満足そうだから何でもいいけど。

「……」

アリサは、メモ帳の代わりに赤い手帳を買っていたが、それを見る度に、満面の笑みを見せる。

それはまるで子供の様な無垢な顔だ。

「リースは、何も買わないのか?」

「私は、お母様に花を買ったわ」

「そっか……。喜ぶといいな」

「うん」

相変わらずリースの性格は、春風の様で、俺たちは爽やかな気持ちのまま、屋敷に戻る事に。

屋敷に着くと、俺は、必要のない物を部屋に置いて、夕食の準備を手伝うためにキッチンに向かった。

「ねぇねぇ?」

するとその途中で俺より三つくらい年下な西洋のお人形さんみたいな女の子と遭遇する。

「君は……?」

「私は、ルーシー。それよりお兄ちゃんが持っているそれなぁに?」

「これは……」

それは先ほどのデパートで買ったもう一つの靴だった。

何でそんな物を持ち歩いているかと言うと、実は、これは自分の靴ではなく、夕食後に日頃の感謝を込めて、リースにプレゼントしようと思ってこっそり買った靴なのだ。

「これは……リースへのプレゼントさ」

「ふーん。何でプレゼントするの?」

「え?」

「お兄ちゃんはお姉ちゃんの事が好きなの?」

「好きだよ」

「じゃあ、結婚するの?」

「いや、そう言う訳じゃないよ。人として好きって事さ」

「どう違うの?」

「きっと、同じ様に見えて、全く別の感情だね」

「ならルーシーの事も好き?」

「うーん。特に嫌いな理由はないかな……」

俺は咄嗟に苦笑いする。

「ならそれ頂戴!」

するとルーシーは突然、それをぶんどったのだ。

「ち、ちょ!」

そのまま俺は、追いかけたが、廊下を曲がった所で見失ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ