#安全
#安全
「それでは、エンブレムに勲章をエンチャントします」
受付の女性が、エンブレムと勲章を近づける。
すると勲章が淡く輝きだしたと思ったら、光が散らばる様に弾けて、エンブレムに印が付いたのである。
「どうだ? 何か変わったか?」
俺は、エンブレムを受け取ると、リースに渡した。
「うーん……。特に変化はないわね?」
まぁ、そんなんで力が倍になったり、スピードが速くなったら驚きだ。
「それでどうするんだよ? またクエストを受けるのか?」
それはお金の事以外、あまり興味のなさそうなフニャールである。
「そうね。そうしましょうか?」
リースがアリサの方を振り向くと、アリサも小さく頷いた。
「……」
アリサはチラリと俺の方を見たが、特に異論はない様だ。
「決まりだな? ならアタイが手ごろなの選んで来るよ?」
だが、そう言い残して、掲示板に向かおうとするフニャールを俺が止める。
「俺が行くよ」
「な、なんだよ! アタイが選ぶのに文句があるのかい!」
「当然だろ?」
「え……?」
俺のその反応にフニャールが目を点にするが、俺は続けた。
「お前はそうやって、前回も報酬に目がくらんで、一番厄介そうなクエストを選ぼうとした前科があるからな?」
「それは……その……報酬は大事だろ?」
フニャールの声は小さくなったが、そんなんでフニャールに合わせてたら命がいくつあっても足りない。
俺はいい、でも、リースを危険な目に遭わせる訳にはいかないのだ。
「それならついさっき新しいクエストが手に入りましたけど、皆さんやりますか?」
そう受付が教えてくれたクエストは、とても安全な物だった。




