#召喚
#召喚
「ここなら誰もいないわね」
アリサはそう言うと、その部屋にある大きなソファーに腰を下ろすが、俺は、おちおちそんな事が出来る精神状態じゃなかった。
「この間の契約って! どういう事だ!」
俺は、早速、心の内をアリサにぶつける。
「その話をする前にあんたの事を聞きたいわ」
「え?」
「あんたこの世界の人間じゃないわよね?」
「何でそれを!?」
俺は驚いた。
なぜアリサはその事を知っているのだろう?
まだリースにだって、話したことないのに。
いや、話したところで、頭のおかしい奴だと思われるだけだろう。
それくらいの話なのに、なぜアリサは少しも心が乱れていない、いや、むしろ平常心なのだ?
「だって、アタシがあんたをこの世界に召喚したんだもの」
そのアリサの言葉は、俺に、希望と恐怖を同時に与えるには十分だった。
四冊目は、小説だった。
『昔々、この世界には神様がいた。だが、その神様には、世界を創造する力なんてなく、ただこの世界を観測する事しか出来なかった。その神様が、何万年、いや、何億年とこの世界を彷徨っていると、ある日、突然、別の世界の存在を発見する。それは、この世界の物差ししか持っていなかった神様に、希望と恐怖を与えたが、それは同時にアダムとイヴとの出逢いでもあった。そして、アダムとイヴに創造する力がある事に気づいた神様は、自分の世界にアダムとイヴを招待したのである』




