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#誰もいない部屋

#誰もいない部屋


窓の外は嘘のように静かで、真っ暗だった。

コンコン。

「リース? 起きてるか?」

こんな遅くにリースを起こすなんて非常識だと思ったが、俺は、珍しくリースと話がしたかったため、リースの部屋のドアをノックする。

するとリースの部屋のドアがゆっくり開く。

「何? 俊彦?」

リースは起きていた。

「今日は悪かったな」

「え?」

「図書館に付き合ってもらって」

「ううん。気にしないで。私も俊彦の紋章に興味があったから……」

「でも、俺寝っちゃったじゃん?」

「きっと、ここんところ忙しかったから疲れていたのよ」

「そうなのかな? でも、俺に付き合わなかったらこんな事にならなかっただろ?」

「何が?」

「フニャールとアリサの事。フニャールに報酬をねこばばされる事もなかったし、アリサをパーティーに入れる事もなかった」

「そうね。でも、私嬉しいの。フニャールとアリサとパーティーを組めて。だって、私、あんまり同世代の友達がいなかったから」

そう言えば、俺は、リースが他の子と遊んでいるのを見た事が無い。

それには何か理由があるのだろうか?

「そっか……。それにしても、二人を雇うなんて考えたな? 二人のためなんだろ?」

「ううん。あれは、二人には恩着せがましかったかもしれないけど、私のわがままを押し通したかっただけ。だって、フニャールの話を聞いた時、アリサの格好を見た時、きっと、私には、俊彦と出逢った時の様にこんな事しか出来ないと思ったから……」

「……」

「でもね、私は、何も出来ないっていうのと何もしないっていうのは別だと思ってるの。だから、私は、私のわがままを言わせてもらったの。二人ともっと仲良くなるためにね」

「なるほどね。でも、俺は、そんなリースがいてくれて良かったと思うよ。もし、リースがいなかったらフニャールともアリサとも出逢わなかったかも。それに……」

「それに?」

「いや、何でもない! それだけ! じゃあ、お休み!」

「……お休みなさい」

それに……この異世界には、俺の様な人間だけじゃなく、リースみたいな人間もいるって、少し分かってきた気がしたから……。

だが、俺が部屋に戻ろうとすると、そこにはアリサが待っていたのだ。

「話があるんだけど……」

「ああ、俺もだ……」

そして、俺たちは、誰もいない部屋を探した。

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