#パーティー失格
#パーティー失格
「何で売らなかったんだ?」
俺はもう一度フニャールに詰め寄った。
もしかしたらもっと悪い事を企んでいると思ったからだ。
「アタイ、こんなの貰うの初めてだったから……」
本気か?
本気で言ってるのか?
それを聞いて、俺は、耳を疑う。
あのフニャールが目先の金に走らないなんて信じられない。
「……それになるべく高く売ろうとしてたら、買い手が見つからなかったんだ」
やはりそう言う事だ。
それを聞いて、俺は、一人納得する。
なら間に合って、御の字だ。
「なら話は早い。それは俺が預かっとく! いいな!」
「分かった……」
「それで母親の仕事はもう手伝わなくていいのか?」
「いや、今日は、たまたま手伝ってただけさ。普段は、母が一人で回してるよ」
「そっか……それならよかった」
俺は自分の母さんが好きだ。
だからフニャールが母親を大事にしてるのを見て、母親の仕事を手伝っているのを見て、俺は、強く言えなかったのだ。
「俊彦?」
そこでフニャールが心配そうな顔をする。
「何だ?」
「やっぱアタイはパーティー失格か?」
「当然だな」
「そんな……」
まさかこんな事しておいて、まだパーティーに居座るつもりだったのか?
「と言いたいところだが、どうする? リース?」
でも、それを決めるのはリースだ。
「うーん……折角仲良くなれたし……。だけど、今度お金が必要な時は相談してね?」
「だそうだ?」
「それってまだパーティーにいていいって事か! ありがとう! 二人には今度体で返すよ!」
「……」
やっぱこいつ反省してない。
やっぱメンバーから外した方がいいんじゃ?
「……それより後ろの人は?」
フニャールがアリサの方を向く。
「アタシかい? アタシの名前は、アリサ。今日からあんたたちの仲間になる者さ」
俺は反対だけどな?
「えー! そんなのアタイ聞いてないよ!」
そりゃそうだ。
お前のせいでパーティーに入れる事になったんだからな?
「色々あってな」
「そっかー……。まぁ、二人が決めた事ならアタイは口出しできないな。アタイの名前は、フニャール。よろしく」
「よろしく」
「そうだわ! 私、良い事思いついた! 今日は二人ともうちに来て!」
そうリースが目を輝かすと、急な事に、二人は目を丸くする。
「え?」
そして、俺たちは、リースの家に向かったのだ。




