#勲章
#勲章
近くには大きな公園があった。
木で出来た遊具が並んでいて、子供たちがまだ遊んでいるが、そこで俺たちは話を始める。
「すまん!」
するとフニャールはいきなり頭を下げた。
「どうしても金が必要だったんだ!」
「……」
きっと、あの屋台が関係してる事を、なんとなくだが、俺は察した。
「フニャール顔を上げて?」
リースが優しい顔をすると、フニャールはゆっくり顔を上げる。
「まず何に報酬を使ったか教えて?」
「実は……借金があったんだ」
簡単に言うと、借金があったそうだ。
「後、屋台の維持費」
それとさっきの屋台の維持費だ。
「それで報酬は全部使っちまった」
つまり、自分のために使ったのだ。
弁解の余地なんてない。
「別に使ってしまった事は責めないわ。でも、何で相談してくれなかったの?」
でも、リースは違う。
リースはむしろ、フニャールが心配なのだ。
その後ろでアリサは静かにしていた。
「すまん! 気が付いたら、金持って走ってた! 何でもするから許してくれ!」
「どうする?」
リースが俺の方を向く。
だから俺は反対だったんだ。
でも……。
「はぁー……。仕方ないな……。どうせフニャールがいなければ、あのクエストは達成できなかっただろう……」
「俊彦ー!」
その言葉に、フニャールが目を輝かせる。
「後であんたには体で返すよ!」
「はぁ? こんな場面でふざけているのか?」
その言葉に、俺は、厳しい目を向ける。
こいつ……ちっとも反省してない。
「いや、何でもない……」
「それよりランクAをクリアした勲章はどうしたんだよ?」
「売っちまった……」
やはりそうか……。
「いや、売るつもりだった……」
え?
「でも、また持ってる……」
するとフニャールは、恐る恐るポケットからその勲章を取り出したのだ。




