#ジュース
#ジュース
「そいつの名前は?」
「フニャール……」
俺がそう言うと、アリサはそのメモ帳にフニャールの名前を書く。
「……」
だが、その後、アリサはじっと目を閉じてるだけで何もしない。
「……何してるんだ?」
一、二分して、しびれを切らした俺が尋ねる。
「ちょっと待って……」
それでもアリサは微動だにしない。
そして、さらに一、二分が過ぎたところで、アリサが急に目を開ける。
「分かったわ! ついてきて!」
その瞬間、何が分かったのか分からないが、俺たちはアリサの後を追いかけた。
少し行くと、そこには、この町には珍しい小さな屋台があった。
「フニャール!?」
それを見て俺は驚く。
なぜならその屋台でフニャールが働いていたからだが、フニャールは俺の声で気づく。
「俊彦……」
「こんな所で何してるんだよ?」
俺たちは、屋台の前に立ちはだかるが、俺は怒っていた。
それは俺の顔を見れば、フニャールも理解しただろう。
「どうしたのフニャール? 知り合い?」
するとフニャールの背後からフニャールによく似た年配の女性が顔を出す。
その人は、俺の倍以上は生きてそうだが、とても綺麗な人だった。
「うん。友達……」
「やっぱりそうかい? なら後はママがやるよ! それとこれ持って行きな?」
そのままフニャールの母親は、フニャールにその屋台で売っているジュースを持たせる。
「うん……」
そして、俺たちは、少し歩く事にした。




